
この秋の日本滞在中の買い物は、こんな感じ(抜粋)。

このとても小さな木彫りの像の存在は、2022年から知っていた。
奈良の骨董商のガラスケースの最上段に置かれていて、背伸びをして値札をちらっと見て、そのまま帰った。
翌年の同じ季節に来て、この時は夫も一緒だったので「あの像、去年から気になっているんだよね…」と伝え、またそのまま帰った。
2024年にも再訪。「1年ぶりですね、お元気?」と木像に声を掛けそうになる。ああやっぱりかわいい、お猿さんが。全長6cmの男性の右脇に身を寄せる、2cmほどのお猿さんが、たまらなく愛くるしい。
2025年、例年に倣い同じ骨董商の暖簾をくぐる。よくよく考えたら、この3年間ずっと同じ価格なんだよな。ユーロの価値がどんどん上がっていくので、いじいじとに購買を迷い続ける価格でもない気がしてきた。他に大きな買い物の予定もないし。ほどなく店主から声が掛かり、3年焦がれ続けて初めて、ガラス越しでなく実物を鑑賞することになった。

手書きの品目札には、「春日社有職一刀彫 木嶋良宗作 根付」とある。根付だから背面に穴があるのか。100年ほど前の品物で、猿まわしのコンビがモチーフ。日本全国でそうだったように、昔は奈良でも正月には村の辻に猿回しがやってきて、縁起の良い芸を披露していたそうだ。日本での庶民の間での猿の信仰って厚かったのだね、知らなかった。
春日有職(かすがゆうそく)は、春日大社が任命した彫刻師を指す。
そもそも一刀彫が何なのかを私は詳しく知らないので、調べてみた(しばらく奈良で育ったはずなのにおかしいな)。
もとは奈良の春日大社の祭礼「おんまつり」の田楽に用いられた神事用の人形で、その歴史は平安時代にまでさかのぼるようだ。
ここで面白いのが、人間のためではなく神に捧げる人形なので、何よりも「清浄を第一」と考えるというコンセプト。それゆえに「人間の手業を極力加えていない」ことを、あたかも一つの彫刻刀だけで短い時間に彫り上げたかのような表現に込めた(実際には何種類かの彫刻刀を使用)。一刀彫の粗く簡素な風合いは、神事と関わる発祥のために受け継がれていたのだ。
この、「人の手をなるべく加えない=清浄=神様用」というセンスは、ヨーロッパの人に説明するのにちょっと根気が要るな… 調度工芸品に関しては、直観的には正反対の価値観を持つようにも思える。初物を神様に、という日本人には長らく反射的に自然な習慣も然り。このテーマについては私も理解を深めたいので、ゆっくり思考と言語化のトレーニングをしていきたい。
木嶋良宗という作家についても何も知らなかった(私は本当に何も知らないので、調べるのが常に楽しい)ので調べていたら、1925年のパリ万国博覧会にも一刀彫を出品したことがある、との情報を得た。なんと、彼の作品が100年前にパリの地を踏んでいたとは。

足の裏までかわいい。

そしてこのお猿さん。ほぼ手技を感じない微妙な加減の彫りで、猿の柔らかな毛並みも関節の柔軟さも表現し切っていることに感服。さすが天皇家にも作品を献上した実績を持つ、春日有職一刀彫師のセンスと技術。
私がこの作品を3年ずっと通って見に来ていること、8年前に買い求めたお地蔵さんはパリで元気にしていることなどを話すと、店主も打ち解けた様子で色々な話を聞かせてくれて、とても楽しい時間を過ごした。来年も行きます。

そしてまた木像を買っている。11月8日と9日に大阪で開催したポップアップストアAchikochiz vol.9での、バイヤーCの出品から。搬入後すぐのタイミングから我々夫婦の間で「あれいいよね」と意見が一致し、ポップアップストア2日目のお昼過ぎには「このままだと誰かに買われてしまうかもしれないからすぐ買おう!」となって購入した、ホピ族のカチナドール。

身長10cmほど、Hopi Pink Cornと底面に手書きされている。とうもろこしの豊作を司る精霊かな?Pink Cornで検索すると、みんな耳と口に共通の特徴があって、服装も似たデザインのものが多い。
頭頂部の小さな穴は、羽根を差すためにあるらしい。むかし募金したらもらえた、ショッキングピンクとかグリーンの小さい羽根がちょうど良さそうだ。なくてもツルッとしてかわいいけど。

Achikochizではもう1つ木像を買っている。えらいイケメンのシュッとした恵比寿天像を。鯛の笑顔もいい。

もううちに恵比寿さんと大黒さん何人いるんだという感じだけれど、新メンバー加入決定。アイドルグループDKK♡EBSとかが結成されるくらいの大所帯になってきた。
このほかにAchikochizではヴィンテージの綿ネル地のパジャマも購入。現代のフランネル地パジャマと比べると保温力が全然ちがう、やっぱり生地は昔の服の方が上質だな。
東京のKITTE内でレストランの順番待ち時間90分をつぶす間に、まんまと大量に買い物をした。

小皿と、

同じ柄の蕎麦猪口を、中川政七商店で購入。困った顔のエキゾチックショートヘア猫、最高では!!!
なんで奈良から東京に行ってわざわざ奈良を本拠地にする店で買い物を… と自分でも一瞬思ったけれど、奈良の店で見た記憶がないんだ(売り切れ?)。そして、こういうのは出会った時にこそ買うべき。まだ使うのがもったいなくて箱入り、でも眺めているだけで、所有しているだけでうれしいね、これは。
集合写真の右上のヌメ革小銭入れもKITTE内のお店で買った。あとはお土産に小物整理ペン立てとか、アームウォーマーとか、山ほどの荷物でレストランに行ったのだった。

これはムーミンママのBEAMS特注フィギュア(買い物バッグが黒じゃなくてオレンジ)、新宿のお店の最上階で買った。また像を買っている…?
このほかにムーミンの畳べりカード入れとか、横尾忠則の魔除猫フィギュアストラップ(箱を開けるまで何色が当たるかわからないやつ。赤い大仏だった)とか、森山大道のTシャツとか、なんかいろいろ買った。

甥の通う大学の学祭に妹が連れて行ってくれて、そこで買ったシラスの染色標本。姪が気に入って買ったと聞いて欲しくなった(すぐ影響される)。学祭とか行ったのが久しぶりで(自分の大学生時代以来)、超エンジョイしてしまった。

6年ぶりに再会した友人と3人で京都のなるべく寂れた道を選んで歩いている時に、骨董店を見つけたので入ってみた。内側が長い造りなのは想像していたけれど、想像を超えて長かった。
箸置きがずらっと並んだテーブルで、神経衰弱のように同じシリーズのものを4個、探し当てた。いかにも1980年代バブルですというデザインの、カラフルな箸置き。店主によると、高齢のコレクターから10年以上前に買い取った箸置きコレクションの一部だそうで。きっちり積み上げられるところが気に入っている。
このほかにはデスクワーク用のおしゃれ座椅子(箱のサイズが絶妙で預け荷物にするのに割と難儀した)とか、野外用の折り畳み椅子とか、ぬいぐるみキーホルダーとか、ショルダーバッグとか、透明のカードケース(夫婦で気に入りすぎてサイズ違いで計15枚ほどいろんな店で買い集めた。こういうのないんだよフランスには)とか、メガネケースとか、ミニカラビナいっぱい、シリコン蒸し皿、タオル、本を4冊ほど。オリジナルTシャツ(販売用と自分用)もいっぱい作った。ああ楽しかった。