パリ4区(Pl. des Vosges)のブロカント | 2023/03

これも定期的な開催を楽しみにしているブロカントのひとつ。ヴォージュ広場の周りは散歩も楽しいし、よっぽどの悪天候でなければ必ず来ている。この前の回は秋口だった。

メトロ1番線Saint-Paul駅の階段を上ってすぐ、軍ものディーラーTのスタンドを見つけた。

「君専用の例の商品を見つけたから持ってきたよ」と言うT。このセリフを聞くときには結局うっかり忘れてきたとか、思いちがいだったというパターンも過去に何度かあるので、「そうなんだー。何かな!」とにっこり答えて、あまり期待せずにスタンド内をいつもどおりに探検した。

この日のために隠し持っていたとっておきの商品を思い切り並べたと言うだけあって、見たことのないアイテムもちらほら。

おや、この黒いコートのギャバルディン生地、めちゃくちゃ上等なのでは… と手に取れば、アメリカ軍支給品の品質管理タグがついている。

アメリカの将校用コートだとTは言う。さっそく羽織ってみたら、メンズのLサイズのわりにはしっくり来る。生地にハリがあるので、オーバーサイズで着てもシルエットは悪くない。ジッパーで取り外し可能なライナーまでついている。

「それ、女性用のもあるよ!」と言って、Tがトラックから探して出してきてくれた。ほんとだ、生地もデザインもほぼ同じで、前の合わせ方向が逆の女性ものだ。

羽織ってみたらやっぱり断然こっちが似合う。無理やり袖をまくり上げなくても着られる。

この美しい縫製よ!熟練の職人さんが作ったんだろうな。

タグから察するに、2004年の製造(ちなみに先に着た男性用の方は1980年代製だった)。国防関係の下請けなのにhttpでしれっと始まるURLが、いかにも2000年代って感じだ。Maineさんという女性将校が着ていたのだな。

刺繍タグにあるDSCPというのは、Defense Supply Center Philadelphiaの略称で、アメリカ合衆国にいくつかある軍需品の調達センターの1つ(いまでもあるのかな?)。フィラデルフィアには海軍の造船所があるから、海軍の将校用コートかもしれない。撥水性の生地で作られているし。

ライナーをつけるための長いジッパーがぐるりとついているがライナー自体は紛失していたので、ジッパーを外した(でないと中に着る服が擦れて傷む)。隅から隅まで美しく丁寧な縫製で、縫い目を切りながら緊張したよ。

とにかく長さがいい。私は膝丈のアウターが似合わないから苦手なのだけれど、このくるぶし上10センチくらいの長さは理想的だ。中に着たのがパンツであろうがスカートであろうがワンピースであろうが、何を合わせても万能な丈。

で、このコートをさあ買おうかというところで、冒頭にTが言った「君専用の品物」ってやつが出てきた。

12月にTがパリでポップアップストアを開いた時に試着して、サイズが大きかったから諦めたコートだ!小さいサイズのが見つかったらキープしておくと言ってくれていたコート!

クレージュデザインのフランス軍もの、3着目!

前の合わせ方向はメンズだけれど、内側に胸ポケットがついているのでこっちの方がありがたい。そもそも私は洋服の性別には無頓着で、カッコよく着られればなんでもOKなのだ。

2009年にフランス北部カレーで製造されたもの。サイズは92Cで、胸囲92cmで袖丈着丈の短い(court)バージョン。

Tからはもう1着、最近あちこちで買いまくっているジャンプスーツも買う。

買った時は糊がきいてバリっとしていたので、おそらく未使用。

Tによれば、フランス海軍のもの… なのだが、このKrimpvr’Jっていうのはオランダ語かな。ワークウェアのメーカー名だろうか?

Sanfor加工(洗ってもひどく縮まない特殊加工)。時代は1980年代あたりだと思う。

胸ポケットがボタン開閉なのがいい。