この日は午後イチで夫と2人でワイン見本市Vignerons indépendantsに行き、現地滞在45分という最短記録で11本を手に帰宅。毎回律儀に招待状を送ってくれる生産者たちに、4年ぶりに会いたかったのだ。ちゃんと覚えていてくれた。
日中いつ雨が降ってもおかしくない予報だし、見本市から帰ったら家にいるつもり… が、意外にいつまでも晴れているではないか。じゃあバスティーユのブロカント兼バザーに行っちゃおうかな！
というわけで、9ヶ月ぶりの。
夕方かなり遅めで、もう空いているだろうと期待したのにすごく混んでいる。
最初に立ち止まったのは、出店予告メールをくれていたJのヴィンテージ衣類スタンド。お客さんで賑わっていて忙しそうだったし、挨拶してささっと見て先に行く。
見覚えのある大判のシルクスクリーン作品にピンと来て周囲を探したら、いたいた、Nが。彼女に会うのは昨年10月以来なのでは？しばらく喋って共通の友人の近況なども聞き、「また来週！」と言って別れた。
その数件先に、いつもブロカントでスカーフを山盛り売っているプロのスタンド。今回はスルーするつもりが、良さげなヒョウ柄のを1枚、遠目に見つけて駆け寄った。
1枚買うのにちょうどいい金額を持ち合わせておらず、ならば6枚まとめて買おうではないか、と真剣に選ぶことに。私の向かい側でスカーフを物色中の見知らぬマダムから、「これも好きなんじゃない？」と別のヒョウ柄スカーフを渡され、ありがたく頂戴した。こういう突然フレンドリーな交流は、パリのマルシェとかブロカントならでは。あ、大阪もこういう感じだね、そういえば。
ヒョウ柄3枚と、その他の3枚。なかなか良いヒョウ柄が集まったと自負している。
さらに先に進むと、ゴキゲンな1980年代ディスコミュージックを鳴らすヴィンテージ衣類のスタンドが。メンズだけかと思いきや、レディース服もあるではないか。
端から順にじっくり見て、ワンピースとブラウスを1点ずつ選んで抱えて店主を探すも、あれ？！いない… さっき挨拶したはずなのにな。
しばらくキョロキョロしていたら、道の向かい側のカフェのテラスから、ビール片手に手で控えめに合図をする男性が。スタンドの店主だ。すかさず持っていた商品を高く掲げて、買いたいですジェスチャー（どんなだ）をすると、すぐにスタンドに戻ってきた。
ブラウスには黒い盗難防止タグが付いていたので、「これって外してもらえますよね」と確かめる。大丈夫だった、ちゃんと専用の機械を持ってきていた。ブロカントで盗難防止タグ付き商品を見たのは初めてだ。
いいねえ、この地域密着型の屋号。オルレアンの服屋さんのオリジナル商品だったんだな。
1980年代を席巻した、ポリエステル・デシン。この生地が大好きで、見たら買ってしまう。
この生地は、バブル期に日本のメーカーが生産して世界中に売っていた、と噂に聞く。めっちゃ軽くてしなやかでパッと見はシルクのようなツヤで、なのに洗濯機で洗えるしすぐ乾くしアイロンも軽々。
ブラウスのデザインには「アルル」という名がついていたらしい。
タグを外してもらう間に手持ち無沙汰で、メンズ商品のラックの端っこのあたりを見ていたら、なんだかステキなジャケットがある。ブランドタグを見ればPierre Cardinだ。
「ちょっとこれも着てみていいですか？」と羽織ってしまった。つい出来心で。サイズぴったりだし色も形も好きだし、まあ買うよね。
コウモリ袖で中綿なんて、贅沢の極み！
この、左右の身頃で集中線ステッチ方向を変えてあるところとか、最高じゃないですか？
表地はコットンとポリアミドの混合で、販売当時は撥水性があったはず。
イタリアサイズが最初に書かれているので、イタリアを中心に販売されたモデルだろうな。スキーウェアっぽいデザインだし。
今ではところどころ擦り切れたりシミになったりしているものの、元の持ち主にはかなり大事にされていた様子がうかがえる。
3着目は、ウール混のワンピース。
コウモリ袖！ミディ丈！こんなの見逃すわけないよね私が。
Yves Daincourtだ。ここの服を1着だけ持っている。
襟の後ろのディティールにもグッとくる。洗濯機で洗えてすぐ乾くのも素晴らしいよ。
3点購入するには現金が足りないから下ろしてくると言うと、カード払いOKだった。…ってことは店舗があるねと気づき、パリにお店があるのかと訊いたら、なんとオルレアンに店を持っているんだそうだ。
オルレアンといえば、半年前くらいに知り合ったディーラーEの本拠地である。「オルレアンの女性のヴィンテージ服屋さんで、パリのブロカントに時々来る人を知ってます」と私が言うと、「ああ、Eだね！」と。やっぱり知り合い同士だった。
さっそく6日後に着た↓
