パリ5区(Pl. Monge)のブロカント | 2021/02

1年ぶりの5区のブロカント。

恐ろしい寒さの日で、ちょっと外出をためらう気分になるほどだった。ブロカントがあるからもちろん出かけるけど。

メトロの駅からエスカレーターで上がると、目の前がブロカントの入り口である。

ヴィンテージ服ディーラーLのスタンドを遠目に確認したので駆け寄る。
ものすごいお宝を2着売りに出していて、両方を試着して1着だけ買った。

Guy Laroche Diffusion(オートクチュールじゃなくて既製服ライン)の、白いウール地のコートドレス。

1972年ごろのGuy Larocheウール地コートドレス

この絶妙な暖かみの白さ、慎み深いポケット、襟の上品さ、袖の広がり、着丈、もうすべての要素が素晴らしい。共布のベルトを締めてもカッコいい。

高価だったけれど無理してでもこれは買うべきと即決(こんなのばっかりだな私は)。

Lが「1972年、たぶん」とかなり正確に年代を特定するので不思議だった。
この2週間後に、あるヴィンテージ服ディーラー兼コンサルタントJのポッドキャストを聴いて、なんとなく理由がわかった。

メゾンGuy Larocheは経営難だった1973年に大企業Bic社の傘下に入り、以降はGuy Laroche本人は経営にはノータッチでオートクチュールのみを担当し、プレタポルテは別のデザイナーGuy Douvierが担当することになった。プレタポルテの華々しい成功を、Guy Laroche本人は少々悔しい思いをして見ていたように思う、と当時アトリエで働いていた女性談。

ということは、1972年までは本人が既製服のラインもディレクションしていたということだよね?
私の買った服はロゴも古いタイプだし、プレタポルテライン誕生の1961年から、1972年までのコレクションってことなんだろうな。

帰宅してからすぐに手洗いで汚れを落としていると、なぜか水がどんどん赤茶色に染まっていく。白い服なのに…?としばらく戸惑ってから、理由がわかった。芯地のポリウレタンが劣化して粉になったんだ。

肩パッドの劣化現象にはいいかげん慣れてきたけれど、芯地もか… 裏地のまつり縫いを部分的に解いて洗い続けたものの、手洗いだと限界がある。ええい、洗濯機に入れてしまおう。

上質のウールって洗濯機で洗っても意外と大丈夫なんだよね、最初はドキドキしたけど平気だった。赤茶色の粉もほぼ抜けた。めちゃくちゃ細かい粉なので、洗濯機で洗うと織地の隙間から勝手に出て行ってくれる。

さて、Guy Larocheといえば、映画「Le grand blond avec une chaussure noire(1972)」でミレーユ・ダルクが纏った黒いあのドレスが有名。

このセンシュアルさ、いま見ても気絶しそうに素晴らしい。背中をがっつり空けるというアイデアは女優自身から提案したらしいけれど(晩年のインタビューで語っていたのをテレビで見た)、ちゃんと着られる形に仕上げたデザイナーとアトリエの実力に感服。