Wolinskiの1970年代の風刺画


2015年1月7日に起こった雑誌社Charlie Hebdo(シャルリー・エブド)銃撃テロの犠牲者の1人、風刺画家ジョルジュ・ヴォランスキー。彼の昔の作品集を、夫が義母宅から探し出して来た。

1978-79年に新聞L’Humanité紙(旧フランス社会党の党首Jean Jaurèsによって1904年発足、1921年からソ連崩壊まではフランス共産党の機関紙、現在は共産党を含む左派の日刊紙という位置付け)の為に描かれた作品。

48歳当時の1974年に大統領就任、1981年まで同職を務めたヴァレリー・ジスカール・デスタン(Giscard d’Estaing)と、当時の首相レイモン・バール(Raymond Barre)の政策に対する批判を込めた風刺画の数々から、独断で選んだ8点を以下に紹介。

ジャーナリストの質問に対するバール首相の返答。

Q1 原油価格、どうするんですか?
A1 流れるにまかせる。

Q2 では、(あちこちで芽吹く)失業者は?
A2 花咲かせておく。

Q3 では、航空管制塔の件は?
A3 朽ちるにまかせる。

Q4 では、若者の問題には?
A4 歳をとらせる。

Courir / Fleurir / Pourrir / Vieillirと返答の動詞が全て韻を踏む、詩的なインテリの台詞。


職業紹介所にて。

1 内閣発表の公称失業者数は100万人以下ってことだから、今のところは貴女を失業者に認定できませんよ。

2 でも、私が探しているのは失業者認定じゃなくて、就職先なの!

3 就職先ですって!失業がこんなにたくさんあるっていうのに。夢見てるんですか!


ある航空機の操縦室にて。

1 あっ!イラン軍の通信をキャッチしたぞ。テヘラン行きの全便が欠航だって。

2 全便って、確かかい?

魔法の空飛ぶ絨毯は軍の管轄外。

1 ちょっと?!内務省の調査によると、犯罪者の14,10 %は若年層だって。

2 まあ、怖いわねぇ!

3 ねえ、ないむしょうのちょうさによると、はんざいしゃの85,40 %は、せいじんなんだって。

4 まあ、こわいわねぇ!


魔法使いに扮したバール首相と、若い女性。

1 カボチャの馬車と白馬の王子様と舞踏会が欲しいかい?

2 いいえ、自由で平等に、よりよい人生を生きたいの。

3 そういうのを叶える魔法は知らんね。


ジスカール・デスタン大統領とジャン=ベデル・ボカサ(1966-76年当時の中央アフリカ共和国大統領)、サバンナで狩りを楽しむ。

1 親愛なるボカサ君、今日は大きなジビエ狩りになるって言ってましたよね…

2 親愛なるジスカール君、これは、ちょっと新しい猟銃を試したいだけさ。

これはおそらく、「ボカサ家が経営する会社が作成する制服を全小学生へ着用義務化を強行するも、1979年1月に反対学生のデモが勃発。ボカサ1世はこれを武力鎮圧し、400人の死者を出した」事件を指しているような。


高層階アパルトマンに住む富裕層と、建設工事現場で働く移民男性。

1 汚い移民が!君らはフランス人の仕事を奪っている。

2 そういうのはこっち来て言えよ!

フランス人が就きたがらない仕事を移民が担うのだから、後者は説得力ある。


なかなか理解しがたい「EU」という理念。左から、シモーヌ・ヴェイユ欧州議会議長、ジスカール・デスタン大統領、レイモン・バール首相、市民。

1 フランス人が理解していなければしていないほどいいのよ、我々にとっちゃ。

2 なんか、わかりはじめてきたかも。