パリ20区(Cours de Vincennes)のブロカント | 2015/04

このまえ行ったばかりのような気がするのに、もう半年経っていた。
Nation駅側の大通り沿いでのブロカント。
前回は12区側、今回は20区側の歩道での開催。

同じ型でデザイン違いのティン缶を2個。
どちらも固形ブイヨンのパッケージ。

スイス人実業家Maggi氏が、世界初の固形ブイヨン「KUB」をフランスで登録商標したのが1907年であることから、1910年代頃の物と推測。

左の赤い缶の、意味不明なイラストが好きだ。
本物の牛も太刀打ちできないほどにパワフルなビーフ味、ということだろうか。ちょっと無理があるんではないか。
裏面には山ほどの受賞メダルの絵。パリのla Chine通りにあったメーカーらしい。

青い缶の方には、不敵な微笑みを浮かべ、やけにふっくらとしたコック帽を被った、性別不明なキャラクターが。原料の野菜の絵が、アール・ヌーヴォー風の構成であしらわれている。
裏面には悟ったような牛の横顔。

どちらの缶も金色の飾り枠を多用し、現代のブイヨンのパッケージとは一線を画す高級感。原材料はピュアな牛肉と野菜のみ、というのが大事。

ちなみに、19世紀に牛肉の旨味成分の抽出方法を発明したのは、ドイツのLiebig男爵。「貧しくて肉を買えない人々が、肉の栄養を摂れるように」というのが、彼の研究の動機だったという。

また、ポータブル・スープという概念の商品は、1756年にロンドンの商人であるDubois夫人がすでに開発、販売していた。
ブリキ製パッケージの製造技術が向上し、一定レベルの味の固形ブイヨンの大量生産が可能になったことが重なって、KUBの登場に繋がったのだろうな。

Maggi氏は当時、このKUBが100年後もスーパーに並んでいると、想像していただろうか。

こちらは、中世の王と王妃が家来を連れ狩りに行く絵が描かれた、ビスケットの缶(たぶん)。
中世好きなのでつい。
ゆがんでいて、まっすぐ写ってくれないあたりが愛おしい、ブリキ缶。

アール・デコらしい線画の描かれた、六角形の紙箱。

1927年10月16日という日付が書かれていて、シモーヌという名の赤ちゃんに関するお祝いとして振る舞った品の箱だとわかる。
未婚だったのか死別だったのか、片親だけでの養子縁組だったのか、それとも、女性側家族と男性側家族で別々にお祝い品を配る習慣があったのか、男性不在な点がミステリアスで興味深い。蓋を開けると、箱と同じ形のレースペーパーが敷いてあった。


追記 :
後に訪れた別のブロカントで、似たような箱をたくさん売っている人を見つけたので、質問。
これは出生祝いに配ったドラジェの箱だということが判明。
結婚祝いの箱には夫婦を表す絵柄、出生祝いには母親と赤ちゃんの絵柄というのが、一般的だったらしい。


エンツォ・マリのMamaシリーズ、おそろしく稀少な白色の、楕円型の平鍋を発見。
叩き売りのカオスなスタンドにポツンといたのだが、午後のあんな遅い時間まで、誰にも買われなかったのが不思議。

しかも完全に未使用。
すき焼き鍋としても使えるし、アクアパッツアも似合うし、ふつうにグラタン皿としても便利だし、重宝するのだ(色違いの黄色が、468510の在庫にも)。
この平鍋は、蓋がない姿の方が可愛らしいと思う。

平鍋と同じスタンドで見つけた卵立て。
見覚えがあると思ったら、同じ模様の皿を買ったことがあるのだった。

1920年頃の、Moulin des loups窯のMarie-Louiseシリーズ。
絵付けの青い色が溶け出して釉薬の中に閉じ込められた、事故品っぽいところにもグッと来る。

Créil et Montereau窯のラヴィエ(オードヴル用の楕円皿)、偶然にも、これもMarie-Louiseという名のシリーズ。
上記の卵立てと同じ時代かと思いきや、刻印によると、こちらは1890年頃の品。

ふちに描かれた模様が、ラーメンの器を思わせる。