パリ2区(Passage des Panoramas)のブロカント | 2019/05

1年ぶりになる、2区のアーケード下のブロカント。

意外に混んでいなくて驚いた。かなり遅くに着いたせいでもある。

日本の浮世絵のカードを大量に売っているテーブルで、好きなものを4枚選ぶ。

京都の寺町の某店で売られているような、大正時代から昭和初期の複製木版画だと思う。

雪の東京駅の風景が特に好きだ。

ここでカード4枚を買おうとした段で、現金をほぼ持っていないことに気づいた。

ATMでお金を下ろして戻ってきて逆の方向からよく見たら、卓上には他にも魅力的な品々がならんでいる。
売り主の男性の母上(ご存命で元気だという)が、集めていたコレクションを手放すことにした、という。しばし魅入って、真剣に選んだ。

まずはこのペンダント。

中は鏡になっている。

裏面にオコジョの紋章があるのでブルターニュの土産品かと訊いたら、スタンドの男性2人で「えーっと、ブルターニュじゃなくて確か、シャンボール城かどこかだったと思う」「そうだそうだ」との答え。

シャンボール城か、と帰宅して改めて調べたら、ぜんぜんちがう。
シャンボール城の紋章にも動物がいる点は同じだけれど、あちらは火を吹いているのでサラマンドル、火蜥蜴だ。フランソワ1世の紋章である。

「オコジョ、王冠、紋章」のキーワードでしばらく調べていたら、Anne de Bretagne、ブルターニュ公爵夫人アンヌ(のちにフランス国王妃でもあった)の紋章だということがわかった。
なんだやっぱりブルターニュじゃないか。

ただ、Anne de Bretagneの娘のClaudeがこの紋章を引き継いで、フランソワ1世の元に嫁いでいるので、フランソワ1世の所有したシャンボール城にこの紋章の土産物があってもおかしくない、とは思う。

1900年ごろのものだそうで、植物の描写はアール・ヌーヴォーの雰囲気ながら、鏡の細工には第二帝政様式のなごりを感じる。こういう時代の過渡期のデザインはやはり面白いな。

紋章入り土産シリーズの2個目は、東洋の蒔絵入り漆塗りを模したと思われる小箱。

こちらは19世紀後半のもので、パリの紋章が入っているからパリ土産。万国博に合わせて作られたと考えると、1870年から1890年あたりの品物だ。

もうさすがにゆるんでカチッとは閉まらないものの、ロック式の蓋になっている。

さいごに、小さなスプーンとフォークも選んだ。
材質は動物の角だと思われる。

似たような半熟卵用のスプーンを集めているけれど、同じ材質のフォークは初めて見た。