パリ13区(Bd. Auguste-Blanqui)のブロカント | 2016/08

たびたび訪れている、13区のブロカント
まだ夏休み中だったので、人が少なくて静かだった。

買ったのは、ウィロー・パターンの小さな深皿1枚。

18世紀のヨーロッパ上流階級を魅了した、白く輝くなめらかな肌の、中国の景徳鎮製磁器。

当時のヨーロッパでは、磁器製造技術は未確立だった。
されど、中国磁器のあまりの人気に、その青絵を真似た陶器が、イギリスで作られるようになった。

「柳、2羽の鳥、橋、楼閣、小舟」が描かれるので、ウィロー(柳)・パターンと呼ばれ、親しまれた。

19世紀にはイギリスでの流行がフランスに伝播し、いくつかの有名な窯でウィロー・パターンの器が製造される。

私が見つけたのは、Créil et Montereau窯のもの。

およそ柳らしいとは言えない、重力に逆らった奇妙な造形の樹木と、橋、楼閣、小さな帆船が、転写プリント技術で絵つけされている。

ウィロー・パターンの主役とも言える2羽の鳥は不在。
代わりに(?)、大きな壷に生けられた花が咲き乱れている。

角の丸い長方形で深さのある器はこちらではめずらしい、食卓での用途がよくわからない。

フランス人が「東洋らしい」と感じる横長の角形に近づけつつも、フランスの食文化事情とテーブルウェアとの調和を考慮して角を丸くした、スープ用の皿?

それにしても、楼閣の屋根のカール具合が大胆で、まるでカツラのごとし。
奈良盆地の唐古・鍵遺跡(からこ・かぎいせき)の屋根の巻き具合と、競えると思う。

裏面の刻印は、1884年から1920年まで使用されたタイプ。
市民階級でのシノワズリ流行の時期から察するに、1884年から1890年頃の品物ではないかと。