午年の初ブロカントは、パリ5区から。ここには3年半ぶりにやって来た。
近年にない厳冬で凍える気温の中、おそらく2ヶ月近く会っていない、紙ものディーラーDのスタンドへ。
額入りのパリの地図が目に入った。すでに持っている地図コレクションの中には無さそうだ。表面に文字の輪郭が浮いているので気になって、つい地図の裏面を覗き見た。

昔のパリ市内の交通機関の路線案内だ!バス、トラム、船、メトロ、郊外鉄道を網羅。

赤いラインがバス、青いラインがトラム路線。茶色の点線はメトロ。

中央付近の混み具合がすごい。

見づらい… 当時の印刷技術の限界だったのだろうけど、これを見て自分の乗るべきバスとかを決めていたのが信じられない。ああ、でもパリから郊外に行く場合は、行き先の終点から辿れば乗るべきバス停の場所がわかるし、郊外からは自分のいる場所の最寄りのバス停からパリ行きに乗ればいいから、そんなに難しくもなかったのかも?

しかも裏面の路線リストには、各駅に近い観光名所や劇場、駅などの情報もリストされている。裏を先に読めばいいのか。

レピュブリック広場からベルヴィルのSait-Jean-Baptiste教会(現在のメトロ11番線Jourdain駅前)までを結ぶケーブルカーなんてものがあったようだ。運行期間は1891年から1924年だそうで、ならばこの地図は1924年よりも前の発行である。

地図の四隅に色々な情報が小さく入っている。発行はHachette出版社で、

Guides Joanneという観光ガイドブックの綴じ込み付録だったようだ。このジョアンヌ・ガイドは1860年ごろから1918年まで発行(アシェット社による観光ガイド本の初版は1854年で、本のタイトルがGuides Joanneに変わったのが1860年ごろ)されていた。
ということで、この地図は1918年以前のもの。
Dは「1916年の地図」と言っていたけれど、第一次世界大戦の真っ最中に観光ガイド本をカラーで印刷する余裕があったとは思えない。もう少し前ではないかな。いつものようにメトロの駅の名前でしらみ潰しに調べるべきか、でもあれしんどいのよ…

…とウジウジしていたら、印刷所の情報の横に、6-14という数字が!これは1914年の6月に印刷されたというしるしではないか?フランスの参戦は同年8月なので、その直前に出版されたというなら納得がいく。1916年なんてヴェルダンの塹壕戦でめちゃくちゃ大変だった時期で、呑気に観光ガイドを作っている場合ではない。
さらに、
現メトロ5番線Quai de la R&pée駅がない、ということは1916年6月1日以前。
現メトロ13番線のPlace de Clichy駅とSaint-Lazare駅の間に、Liège駅ではなくてBerlin駅がある!今のLiège駅は、1911年開通時から1914年まではBerlin駅という名前だったのだ。
なので、やっぱりこの地図は1914年の6月発行で合っているようだ。ちょうど8年少し前に買った地図の、直前の地図ということになる。