ベージュのサルエルパンツ

ヴィンテージ服ディーラーYのInstagramの投稿に、「南フランスに発つのでクリニャンクールでの店舗営業は今週末が最後」と書かれていて仰天した。なんと?!閉店するってことか!ちっとも知らなかった。

初めて会ったポップアップストアから5年弱。その少し前から、共通の友人Lを通じて彼女のInstagramアカウントを知り、フォローしていた。

Yは過去に日本に何度も出張したことがあり、日本食が大好きで、よく盛り上がったものだ。「ゆかり」と「きなこ」はパリのどの店で買うのがいいのか、とか、焼いた銀杏は美味しいよね、とか。ジャポニカ種のお米を毎日炊いていると言っていたし、私よりずっと日本食を作って食べているフランス人。新しい日本食レストランができたと聞けば馳せ参じチェックして、様子を教えてくれた。彼女の紹介で知り合えた、日本人の友人もいる。

これはちょっと遠いけれど、さよならを言いに現地に行かねばならぬ。

なんでクリニャンクールの蚤の市に足が向かないかというと、駅から蚤の市までが遠くて怖いのだ。地味な色のアウターを着て、バッグなどはアウターの下に斜め掛けして隠し、超早足で怖い顔をして進まなければならない。荷物をひったくられるのはイヤだ。

午後に彼女のスタンドに着くと、すでに相当な人数で賑わっていた。空っぽの店舗でお別れを言うだけだと思っていたのだが、なんと最後の販売もしていた。まあ、それは素直に見せてもらうよね。見るだけ… とはいかず、いいのを見つけた。

テロテロのサラサラの生地でできた、サルエルパンツ。おそらく1980年代のもので、古い小さなブランドタグに書かれていた名前を検索したけれど、何も情報は出ず。街の仕立て屋の仕事かもしれない。

ボタン留めの付近がだいぶボロボロになっていたのだが、縫い目を解いてカットして、足りない部分の布を足して、縫い直した。これでしばらく持つはず。

サルエルパンツのベージュはこれで3本目だけれど、こういうフェミニンな雰囲気の生地のものは持っていなかった。夏に穿くと涼しくて、且つショートパンツとかよりはきちんとして見えて、重宝するのだ。