パリ18区(rue Caulaincourt)のブロカント | 2023/07

そろそろブロカンターたちも夏休みに入る7月末。

18区のブロカントに、紙ものディーラーのDが出るというので見に行った。街並みがパリらしくて散歩も楽しいこのエリア、来るのは3ヶ月ぶりだ。

拍子抜けするほど小規模なブロカントだったけれど、おもしろいものを見つけた。

鉄道路線図と言うにはあまりに簡素な、「鉄道ここらへんにあるよね」的な図?(赤い線が鉄道である)

フランスに最初の鉄道が敷かれ、使用が開始されたのはなんと1827年らしい。

これはその半世紀以上あとの1883年の地図なので、当時すでに存在していた鉄道なのだと思う。

鉄道の呼び名が「縦線」とか「横線」とか「循環」で、単純きわまりない。

「軍事防衛科学」という書物の59年目、第9シリーズの11巻の中のページだそうで。Dはこういう情報もちゃんとコピーして渡してくれるのでいつも勉強になる。トゥールーズの陸軍砲兵学校の蔵書だったことが、しつこく2回も押されているスタンプからわかる。

1870年の普仏戦争でプロイセン公国に負けて超悔しいフランス軍、その直後からずっと次回のための戦術を練り続けていただろうことは想像に難くない。鉄道の輸送能力をうまく使って大型兵器を迅速に運びたいし、とにかく鉄道の設備を死守できれば、ひどい負け方をしなくて済むはず。

科学技術も医療技術も都市インフラも、戦争に実際に使えるものが優先的に開発されてきたんだよね。移動のために私が呑気に乗っているパリのメトロの原型も、もとはと言えば帝国主義時代の遺産なのだ。