1年ぶり（そんなに来ていなかったっけ？）の5区のブロカント。
ここには紙ものディーラーDと軍ものディーラーTが出るのを知っていたので、2人に会うのが目的である。
メトロ7番線のLes Gobelins駅を出て周囲を見渡すと、白いテントの三角屋根が並ぶのが見える。道を渡り、大通りの東側の歩道を目指す。
Dはいつもと同じ場所にいた。
彼女のスタンドに着いた途端、ある1枚の「奇妙な地図のような何か」に強烈に引き寄せられる。Dは熱心に接客中だったので、しばらくその図面を1人で凝視していた。
地球上の主な国々の生成と衰退と統合と分裂が1枚の図に表現された、「Nouveau Tableau de l’histoire universelle」。ちなみにアメリカ合衆国は、左下の黄色い部分である。歴史が浅いので図も短い。
右端のピンク色の帯はどこの国でもなく、「発明・発見と人類文明における進歩」がざっくりと記されている。
私は長らく、こういうヴィジュアルを探していたのだ！文章で読んでも、映像で見ても、いまいち全体像が掴めなかったヨーロッパ方面の歴史を、直観的に理解する助けになるのでは…！
こんなの一目惚れなので、Dが接客を終えて改めて挨拶をした頃には、もう買うことに決めていた。1833年に作成された資料。
La Création（大文字のCréationだよ）
Adam Eve（アダム イヴ）
Leurs enfants（その子孫）
…
世界の始まり方が、さすがユダヤ・キリスト教文化圏の文献って感じ。
旧約聖書の中でも有名な「Déluge（ノアの大洪水）」に並んで、右端に中国（水色で塗られたCHINOISという文字）の歴史が始まっている。キリスト生誕の約2500年前。
現代に続くような形でのフランス国の起源は、西暦200年あたり（水色の部分から枝分かれするピンク色の細長い部分↓）だ。
隣国ドイツの始まりも、フランスとだいたい同じ時期。おそらくヨーロッパ大陸の各地で、力を持った集落が増え始めたのがその頃なのだろう。それ以前の時点では、みんな一旦はローマ帝国（最初の図の中央に横たわる巨大な黄色い胃袋みたいな部分）に組み入れられる経験をしている。
布に貼り付けるタイプの製本で、畳むと木の板みたいに見える。
