9ヶ月ぶりの14区のブロカント。
大通りの両側にスタンドが並ぶ、思ったよりも大きめのブロカントだった。
たまに見かける男性のスタンドで、ふぞろいな印刷物が箱入りで大量に売られている。
紙製の販促看板のようだ、腰を据えて端から順番に見た。
明らかに1950年代から1960年代のものだ。
後から来た男性が店主と話しているのを聞いていると、販促看板コレクターの放出品らしい。値段もこの時ついでに知った。
保護袋で包まれていて比較的状態が良く、フォントが魅力的な4枚を厳選して購入。
大文字Rの右側の足がまっすぐな書体が好きなので、どうしても贔屓してしまう。そして、この「tico」の愛嬌と軽快さには、ひと目で心を射抜かれた。
この黄色くて大きな看板は、交通標識みたいなデザインでおもしろい。
紙ものディーラーDのところでは、挿絵ページを3点買う。
1859年発行の「Cours élémentaire d’Histoire naturelle. Le Buffon de la Jeunesse. (自然史初級)」という書の中の、猫の絵のページ。
この書名中にある「Le Buffon」とはなんだろうと思ってしつこく調べていたら、Georges-Louis Leclercという自然科学・人文学者(1707-1788年) がBuffonの伯爵だったそうだ。
Buffon伯爵が18世紀に書き上げた超大作(生前に36巻、彼の死後に追加で8巻発行)が「自然史初級」で、通称Le Buffonとなり、何度も版を重ねられた。
しかもこの日は2月22日で、猫の日だったのだ。買うに決まってるじゃろ。
あと2枚は「Costumes de Paris à travers les siècles(パリの衣装史)」からの抜粋ページ。19世紀後半に発行された本で、パリ市の美術館にも数葉が所蔵されているらしい。
印刷所の絵は特にうれしい。グーテンベルクの活版印刷技術発明によって、ヨーロッパで書物が民主化され始めた頃の様子だ。右の方で陰になっている人物が手にしているのは、活字の組版ではなかろうか。