日本でのブロカント | 2018

毎度恒例の、日本で買ったアンティークの記録。

黒い薩摩焼の盃を2個見つけたけれど、そのうちの1つには穴が空いている。
不思議に思ってたずねると、その昔、賭け事で負けた方は、穴あきの盃で酒を飲まされる罰ゲームがあったという。

可杯(べくはい)の穴あき杯、または、穴キュウと呼ばれるもの。
お酒を注がれたら最後、一気に飲み干さないと卓上に戻せない。はて、呑んべえにとってはうれしいだけで、あまり罰ゲームにならないと思うのだが。

米俵に鎮座する小さな大黒さんは、お腹に穴が空いていて、振るとカラカラと音がする。しばらくあらゆる方向に振っていると、中から8mmほどの線香の燃えかすが出てきた。どうやら以前の持ち主は、お香立てとして使っていたらしい。大黒さんは直立姿勢のままお香をお腹に刺されていたんだろうか。切腹みたいで不憫である。

可杯も大黒さんも、江戸時代後期(1850年ごろ)の品物。奈良の東大寺からの帰りに偶然見つけた、めちゃくちゃ小さい骨董屋で買った。

大人1名が3歩だけ移動可能なミクロコスモス空間に、山ほどの骨董品。バランスを崩して転んだが最後、店ごと崩壊しそうである。重心低く、能の演者のごとく慎重にふるまう。

あそこは異次元空間ポケットだったのでは、といまだに思う。おもしろいから来年も行くぞ。


同じく奈良の、餅飯殿商店街にある店で見つけた、鳥の形の金色の彫刻。
木彫かと思ったら、墨だ。

その時にいたスタッフには「墨作りの老舗の古梅園の品々の中にあった」ということ以外、わからないという。他にも扇型や、笙の笛の形のものがあった。

こんな可愛らしい鳥のおなかを硯で摺るというのは想像しにくいので、やはり飾っておくものだろうか?丸々と横に平たく太っていて、なんだか縁起の良い姿。

長方形のメンコなんてあったんだ、と驚いた。夫が気に入って買った、昭和のメンコ。

月光仮面のテレビ放送が1958年から1959年の間(以外に短いな)ということなので、このメンコも同時代の品であろう。金髪碧眼ならぬ、金頭碧眼の七色仮面というのが1枚あって、かなり気になる。


神戸で開催したポップアップストアAchikochizでも、バイヤーCの商品からいくつか買い物をした。

江戸時代の大きい恵比寿さん、小さい恵比寿さん(中央は先述の奈良で買った大黒さん)。恵比寿&大黒コレクターの夫が購入。

ボーイスカウトのチャレンジ・バッジ2個。左上は「乳製品を残さず食べたご褒美」、右下は「右脚を怪我した猫を助けたご褒美」ではないかと、勝手に解釈している。単純な刺繍なのに、猫の筋肉質な量感が過不足なく表現されていて、完成度が高い。

鉛の人形。コートを右腕に掛けて持っている姿に、洋服好きとしてはグッとくる。

あと、ロシア軍のボーダーカットソーも買った。腕まくりしてオーバーサイズで、ボトムにインして着る。


懐かしい大阪アメリカ村でなんとなく入った店で見つけた、リネン製の折りたたみバケツ。

フランス海軍の1950年代のもの。緊急時に使うバケツなので、長時間水を入れておくことはできない。ボートに入った水を掻き出したりしたのかな。

平たく畳める。これ、フランスだと良い状態のものが見つからないのだけれど、デッドストックな上に価格にも納得いったので、買って持って帰ってきた。なんだか私は、こんなことばかりしているのではないか。アンティークの運び戻し屋。
さて、どうやって使おうかな。


今回の大物は、大江戸骨董市で見つけた、磁器の招き猫である。

3年くらい探してやっと出会えた(奈良の某骨董屋でも見つけたけれど、「これ売っちゃうとうちにお客さん来なくなっちゃうからダメ」と言われた、非売品だった)。

「今回はNekoを探しているから。Nekoを見つけたら合図して!」と夫に言ったら、わりとすぐに見つけてくれた。夫は、ものを見つけるのがうまい。

120年から130年前、明治時代の生まれだというので、1890年あたりということにしておこう。

高さ15cmほどの、雌の三毛猫(左脚をあげているのはメスだというのを初めて知った)。

磁肌や朱の色合いから、古瀬戸のものだろうと見当をつけている。前当てに白いチョボがついているのは、古い時代のものだそうだし。
丸っとしていてかわいい。