パリ8区(rue Tronchet)のブロカント | 2018/10

去年もちょうど今ごろに来ている、8区のブロカント。

何度か買い物をしている老夫婦のスタンドで、金色のクラッチバッグを見つけた。

すごく良い状態というわけではないものの、自分で使うぶんには気にならない程度のダメージ。どうしようかと少し迷っていたら、値引きを提案されたので買った。1950年代の品だ。

文字どおりぺったんこなので、手鏡と芝居のチケット1枚くらいしか入らないと思うんだけれど、当時の女性はこれで夜遊びに出かけられたんだろうか。口紅とかハンカチとかは、ドレスのポケットに入れていたのか?


そこから数軒先の、あまり見かけない女性のテキスタイル専門のスタンドの目立つ場所に、古い白いブラウスが吊られていた。

状態は良いし、思ったほど高くなかったので手を伸ばそうとした瞬間、小柄でかわいらしい老婦人が試着を始めた。彼女ならサイズも合うし、似合うだろうし、ああ、ひと足遅かったか、と、スタンドを後にした。


紙ものディーラーDのスタンドでは、またパリの地図を買う。

1937年の地図らしい。

セーヌ川に重ねられたEXPOSITIONという文字が決め手で、購入を決意した。
なぜなら、この年のパリ万国博のカタログと、会場見取り図を持っているからである。どうせなら同時期の資料をそろえたい(なぜだ)。


さてそうこうしているうちに、最初に見たブラウスが再び吊られているのを遠目に確認し、早足で戻る。

「さっきのご婦人は買われなかったのですか?」
「少し考えるって。サイズぴったりで似合っていらしたけれど」
取り置きの約束は特にしなかったとのことなので、私が買った。

繊細な織りのコットンでできた、後ろ開きの半袖ブラウス。
ゆっくり漂白したらスッキリ白くなった。

昔の洋服は天然繊維製なので、少し黒ずんでも漂白すればよみがえるから手入れがしやすい(白い服の場合)。化繊とのミックスになると、こうはいかない。

襟先がとがっているのが面白い。それと、細かいヒダの部分の手仕事がすごいよ。