パリ3区(rue de Bretagne)のブロカント | 2016/05


毎度楽しみにしているパリ3区の大きなブロカント。
直前の回が2ヶ月延期だったので、気づいたらもうそんな時期か、という感じ。

知人Tの軍物スタンドで、フランス海軍のシャンブレー地シャツのデッドストックを見つけた。
タグに2008年製と記されているので、現行モデルだと思う。

基本的には男女とも同じデザインなのだが、女性用は裾が直線カットで丈がやや短く、裾を出して着るようになっている。

ちょうどパリッとした普通のシャツが欲しいと思っていたところ。
良質のボタンを使っていて縫製もていねい、スタンダードな型に品の良さ折目の正しさがにじみ出るあたり、軍物は良いなとしみじみ思う。
求められた仕様どおりに真面目に作っている服であることが、見て触って、ちゃんと伝わってくるのだ。

同じスタンドで買ったもう1着は、ベトナム戦争の頃に使われていた、アメリカ軍のコットン製ジャケット。1962年製のデッドストック(撮影前に洗ったので少し色落ちしている)。

裾がボレロみたいに短くて袖がやたらと長い、おまけに前の合わせが2重という不思議な形。
Tの顧客筋によれば、数年前に大ヒットしたイザベル・マランのジャケットの、元ネタだという。言われてみれば、こんなシルエットの上着をたくさん見かけた時期があったような。

このミステリアスなジャケットの正体を、今回もしつこく検索して突き止めた。

正式名称はCoat vesicant gas protectiveで、防ガス仕様コート(なるほど、防ガス目的で前合わせが2重なのだな)。それを、なぜかウエストの紐のすぐ下で切って、裾を短くしてあるのだ。
お店出しされていた他の2着も同じ形だったので、何か理由があって実戦用に改変されたシリーズなのか、テストで作ってみただけなのか、謎。

半月後にTに再会した際にこのことを話したら、1980年代に軍物古着をリメイクしていたファッションデザイナーから在庫を引き取ったという取引先を思い出したらしく、「そういうことだったのか!」と。

袖は本来はゴムで絞られているのだが、私が買った品には、ゴムの通りそうな穴さえもない。こんな薄いシャツみたいなのを1枚着るだけで、化学兵器のガスから身を守れたんだろうか。それとも、何か薬品でもコーティングしてから着たんだろうか。疑問は尽きない。

服を2着買った後は、いつも素晴らしいガラス製品を並べている女性のスタンドへ。

私の好きな形の脚つきグラスがあったので、5個購入。
18〜19世紀の角張った形のグラスは、どんどん見つかりにくくなっているので、出会ったら迷っている暇はない(翌日にも訪れたら案の定、角張ったタイプは完売していた)。

刃物の街として有名な町、Thiers産のナイフを、どっさり売るスタンドを発見。

どれも同じ値段だと言うので、柄が角で出来た品(高級品)を、時間をかけて2本選ぶ。刃が大胆に反っている方はキズものかと思っていたら、なんと、グレープフルーツ用だった!

ぜひグレープフルーツを買ってきて、使い心地を試したい。
19世紀後半製、金属部分の装飾はナポレオン三世様式だ。
もう1本は、1900年頃に作られたバターナイフ。丸くて短い刃がかわいらしい。

柄の両端に大小の匙が付いた、銅製の調理用具も同じスタンドで見つけた。
18世紀のどこかの調理場で使われていたプロの道具で、以前見つけたコンポート用ポットに雰囲気が似ている。
造形がガタガタで微笑ましい。柄にイニシャルが入っているのもいい。

さてもう帰ろうかという頃に、好きで集めている写真現像用の陶製トレーに遭遇。
19世紀末から20世紀初頭頃の品で、5点ほどあった中から気に入った状態の2個を厳選した。