20区のブロカントが少し物足りなかったので、そのままメトロで12区へ移動。
調理用のヘラや菜箸や匙をガサッと入れておけるように、あえて蓋がない大きめキャニスターを探していたのだが、ちょうどいいのが見つかった。
意匠の雰囲気から、ざっくり1930-50年代頃の品と推定。
文字入りグッズ好きとしては、Sとeの傾き具合と、角張ったところにグッと来る。どことなく「おばあちゃんの若い頃のワンピース」的な、ファンシーさを湛えたデザインである。
裏にはチェコスロヴァキア共和国の製造印がある。
でもSucreは「砂糖」を指すフランス語で、チェコ語でもスロヴァキア語でもない…
検索すると、調味料名が英語で書かれたチェコスロヴァキア製キャニスターが大量に出てくるので、輸出用の陶器製品を多く作っていた時期があるのだろう。
ところで、国名の「チェコ」と「スロヴァキア」の間に「=」が付くんじゃなかったっけ、と思い調べたら、ハイフン付きの時期はミュンヘン協定(1938年)からナチスによるチェコスロヴァキア解体(1939年)までの期間だけだったと。
私の買ったキャニスターの刻印は、まさにハイフンつきの「CZECHO-SLOVAKIA」なので、製造年は1938年か1939年のどちらか、ということだ。
ちなみに国名はその後、長年もめた挙げ句にハイフンなしの「チェコおよびスロヴァキア連邦共和国」に。1993年にチェコとスロヴァキアの2国に分裂してから、もう20年以上になるのか。
バスク模様のボウルも発掘。
刻印はなんとBéarn、まさかパリの路上ブロカントで出会うとは思わず。
すでに持っていた物と比べると、微妙にサイズがちがうのがいい。
壁掛け用ツバメ。
1950年代頃には、個人宅の外壁に、幸運を運ぶシンボルであるツバメがいくつも飾られた風景がめずらしくなかったとか(地方にもよる)。今でも南フランスでたまに見かける。
この背中のつるんとした筋肉質な感じがいい。
頭がちょっと左方向をを向いているだけで、スピード感が出て、生き生きするのが面白いな。
裏側の穴には傷んだコルクが詰まっていたのを、突いて壊して取り出して掃除した。
さて、もう帰ろうかと思った時に通りかかったスタンドに、何やら猫の気配がする。
猫の研究をしていた人のコレクションが手放されたような、猫だらけの印刷物スタンド。ダブっている物も含めると、100点ほどあったのではないかな。
網にかかった猫を冷ややかに見つめるネズミが描かれた、小さなエッチング。
L’Eclipseという風刺画新聞。
1869年発行。
余談 : チェコ製のキャニスターとツバメが無造作に包まれていた紙が、面白いので捨てられない。
こんな髪型のドナルド子(?)、初めて見た。君だれ?!