Restaurant Sola

毎年この時期にロンドンとパリでの休暇を楽しむAさんとは、2年前のロンドン旅行中にE&K夫妻の紹介で知り合った。

今回は、Solaに行ってみたいとのご要望。1週間前には電話予約を完了… したつもりだった。

「ご予約、入っていないのですけれど…」と笑顔で言われて、固まる私。
もしかしたら、直前に候補に挙がっていたもう1つのレストランに電話をかけていたのか?!(どちらも2音節、最後がaで終わる名前だし…)

携帯電話のアドレス帳にはSolaの電話番号しか入っていないのだが、メモ用紙を握って電話したような記憶もチラリ… 幸い席に余裕があったので、無事に入店できた。焦った焦った。

古い扉や梁が生かされた、シックな内装。お手洗いまで美しい。

昼のメニューは2種類ある中から、35ユーロのMenu midi(シェフのお任せ料理)を。

メインを肉にするか魚にするかは選べて、食物アレルギーの有無もオーダー時に訊かれる。

小皿の上に載った白いタブレットに温めのお湯が注がれ、みるみるうちに膨らんで、おしぼりに変身!

1品目、フォアグラの握り寿司風。

表面を均一に美しくキャラメリゼされたフォアグラ、ナイフを入れるとパリッと極薄のキャラメルの膜が割れて、まるでクレーム・ブリュレを思わせるような質感。

フォアグラの下には微かに甘く柔らかいパン、味噌を使ったソースと柚子(柚子味噌だったのか?)を使ったソース。2人で感嘆しっぱなし。

手前の黒いボウルには、グレープフルーツとフェンネルの冷製スープ。これがまた、言葉を失うおいしさ。

2品目、Ris de veau(仔牛の胸腺肉)と野菜。

絶妙な火の通り具合に思わず「うぎゃっ」と奇声を発しそうに。この10年で何度か食べたけれど、まちがいなく最高においしい仔牛の胸腺だと思った。

粒々の質感が楽しい十穀ソースと白いソース(マヨネーズを飛び切り高級でヘルシーにした感じ?)の、野菜との相性も抜群。

メイン料理、桜のチップで薫製された鯖。

食感を音楽的に演出する蕎麦の実。
鯖の下には、燻製ナスのピュレ。

つけ合わせにシイタケの天ぷら、バルサミコ酢の香る焼きズッキーニ。

緑色のソースは、なんだか長い名前の苦い野菜を使ったものだと理解したので、苦いのかとおそるおそる食べてみたら、いろいろな旨味が複雑にからみ合った、素晴らしい味。野菜の長所だけをうまく抽出したら、こうなるのか…?

小さな赤いタマネギは、ラッキョウみたいにマリネしてあった。こういう箸休めは、楽しい。

デザート。苺とマスカルポーネクリームとアイスクリーム、スグリのソースとバルサミコ酢、ホワイトチョコレートのメレンゲ。

上質な室内楽のコンサートのような食事。量もちょうど良い。

加えてAさんは、そばに座って話しているだけで人をふにゃーっとさせる温泉的な女性で、胃も心もすっかり癒された私。ごちそうさまでした!