買い物するのは1年ぶりの、モンマルトルでのブロカント。
最近ずっとヴァンヴの蚤の市だけで出店しているヴィンテージ服ディーラーのL。
彼女からある日「ひさしぶりにパリのブロカントに参加するよ」というメッセージが届く。必ず行くと返事をして、週末の到来を心待ちにしていた。
Abbesses駅の階段を上がり広場を進み、道をはさんで正面にそびえ立つレンガ造りの教会の真下を遠目にチェック。赤い極太ロープが縦横無尽に巻きつけられていたらそれはLのスタンド… なのだが、あれ、ロープがない。じゃあ彼女のスタンドは今回はここじゃないのか。おかしいなと思いながら近づくと、談笑するLとBの姿が見えた。やっぱりいつもと同じ場所にいる!
ほぼ3ヶ月ぶりの再会の挨拶をし、「なんで赤いロープないの?」と訊くと、「だってBと合同のスタンドだからさ、あんまり自分の色を濃く出しすぎると良くないと思ってさ」とのこと。
商品をざっと見せてもらう。イッセイ・ミヤケのコートがかっこよかったんだが、肉厚のコートは買っちゃダメなのだ、もう家のどこにも入らない。けっきょく何も買わず、音楽を聴いて喋っていただけだった。
Lとの再会という目的は果たしたので、他のスタンドも見て回る。駅のすぐそば、テーブルに雑多に散らかったオブジェの中に、あるものを発見。
1kgの、おもり。仕事で使うと便利なことに気づいて、密かに探しつづけていたのだ。
サビ汚れを落とし、台所にあった油で表面をコーティングしたら若々しくよみがえった。
広場の端の、専門がよく分からない別のスタンドでは、謎の物体を掘り出した。
小枝。金属製なのでずっしりしている。
アクセサリーのディスプレイ用の備品かな… ボタンが入った仕切り付きの箱の中に、これは1個しかなかった。ブロカント行脚に長年ついてきていて、私が奇妙なものを買うことに慣れているはずの夫が、「…小枝、マジで買うんか?」という表情をした。