パリ11区(rue Faidherbe)のブロカント | 2023/06

また1年ぶりの、11区のブロカント。

まずは5区の地域バザーとやらを覗いてみようと思いノートルダム大聖堂の近くまで行ったのだが、バザーの存在を見つけられなかった。中止だったのか、それとも私の探し方がイマイチだったのか。

気を取り直して、少し歩いてメトロに乗ろうということになる… のだが、少しどころじゃないけっこうな距離を歩いて、バスティーユ駅に着く。そこからメトロ8番線に乗って移動。

駅出口のエスカレーターを上がったところに、真っ赤な太いロープの巻きついたスタンドを発見。友人ヴィンテージ服ディーラーのLだ!

最近はヴァンヴの蚤の市にばかり出店するから、こっちには出ないと思っていた。予期せず再会できてしまった、うれしい。

彼女のスタンドでは1着、いいなと思う黒いワンピースを見つけたのだけれど、とりあえず値段も訊かず試着もせずラックに戻す。

すると、アジア系の観光客らしき2人組の女性がそのワンピースを手に取った。着衣の上から試着を済ませる様子を遠巻きに見ていると、ほほう、思ったとおり攻めたシルエットでかっこいいな。被りで試着していて脱ぐのに四苦八苦していて、それ、スカート部分に脚を入れてから上半身を着るのが正しい順序では、と思う。

とりあえず他のスタンドを周って友人出店者たちに挨拶し、再びLのスタンドに戻ってきた。

あれ、まだあのワンピースがあるよ。「買わなかったんだ、さっき試着した彼女は?」「何も買わなかったよ」

じゃあ私も着てみようかな、ということで試着。着る前からわかってたけど、我ながらよく似合うね。じゃあうちに来たい服ってことで、私が買いましょう。

(撮影前に懸命にアイロンがけしたんだけど、手強い。ほぼ濡れた状態でアイロンすべきだったか。まあ着てちょっと座ったらもう皺になっちゃうんだろうけど)

この肩!!!ぬいぐるみかと思うような福々しい肩パッドが入っている。コウモリ袖で、大きなポケットがあるのもいいね。

デッドストックで糊が効いていてゴワゴワしていたのだが、洗ったらソフトになった。色も少し落ちたかな。

Lが春先のアメリカ合衆国滞在中に仕入れたラミー地のワンピース、タグにはメイド・イン・ブラジルと書かれている。ブラジル製の既製服は初めて見た!今までに見つけた珍しい生産国の服は、ユーゴスラヴィアや西ドイツなど欧州大陸圏内だったのが、いきなり別大陸に。

Lは自分で着ようと思っていたものの、身長178cmの彼女には着丈が半端に短かったのだという。

おそらく1977年とかの、70年代終盤の品物。彫刻的な肩の造形は、ティエリー・ミュグレーの仕事を彷彿とさせる。大胆かつエレガントな、強くて美しい服だ。