パリ17区(rue de Courcelles)のブロカント | 2023/06

なんとびっくり6年ぶり!だった17区のブロカント。

このブロカントは遠いのが理由でめったに選ばないのだが、金曜日にすでに始まっていたナシオン駅そばのブロカントを下見に行ったらあまりにもショボくてがっかりして、はるばる17区までやってきた。

紙ものディーラーDのスタンドは、わりとすぐに見つかった。会うのはまあまあ久しぶりだ。

夫の買い物スイッチがオンになっていたようで(めずらしい)、片っ端から徹底的に品定めをしている。いっぽう、スタンド内が無風で暑くてたまらなくなった私は、入り口付近をウロウロ。箱の中に重ねられた紙類をボーッと見遣っていたら、なんだか気になる絵がある。

Vie du Cour de la superbe Église de l’Abbaye de Port Royal des Champs a 5 Lieues de Paris détruite le 29 Novembre 1709

絵の下辺に「1709年11月に取り壊されたポール・ロワイヤル・デ・シャン修道院での生活の様子」という説明がある。

パリから5 lieue(1 lieueが約4,8kmなので24km強)の距離にあったと書かれているが、実際にいま歩くとすると、30kmほど離れているようだ。当時はもっと良い近道があったのかもしれない。

修道女の着衣の白さを強調したかったようで、純白のグワッシュが塗り重ねられている。

ちなみにこの版画に描かれた修道院の廃墟を含む広大な敷地は、現在では一般公開されていて、公式サイトもある。

サイトには、昔の修道院の様子を描いた絵のギャラリーページがあった。7番目の絵などは、私が入手した絵の構図とほぼ同じだ。古い版画をもとに描かれた作者不明の絵らしいが、その元ネタ版画シリーズの1枚なんだと思う、私が見つけたのは。

紙の漉き方が粗いしどう見ても古いので、1700年代後半あたりの作品かな。周囲が雑にカットされていて、絵の上辺にも文字が書かれていたことが伺える。まったく、なんで切るんだよ、前の持ち主… たぶん手持ちの額縁のサイズに合わせたんだろうけど。

これを買おうとしたらDが「陰気な悲しい絵だよ?こんなの買うの〜?!」と大げさに茶化してきた(彼女はいつもこういう感じ)。この陰気なところが魅力的なんだと答えながら、あるアーティストの名前を懸命に思い出そうとするのだが、思い出せない。おかしいな、長いこと好きな画家なのに。

覚えていた唯一の手がかりは、1996年春に東京の資生堂の小さなギャラリーで展覧会があったこと。数日のあいだ検索し続け、資生堂アートスペースがなくなって資生堂ギャラリーという名前になったことを知らなかったせいで難儀したが、やっと辿りついた。Henry Dargerだ!ポーランドとかハンガリーとかあの辺の人だと思いちがいをしていた、めっちゃアメリカだったよ。

で、ちょうどいい機会なので画集を買った。これでもう忘れない。

パリの近代美術館で2015年に展覧会があったのに、なんで私は観に行かなかったんだろう。いそがしかったのかな。とにかく、当時これを買った人から譲ってもらうことができた。

この無表情寄りの顔とか、

絵の大きさに対しての人のサイズとか、私の買った修道院の版画の感じに近いなと思っている。

好きなアーティストの画集は必ず手元においておけ、の教訓を得た。手がかりが乏しすぎるとネットでも検索のしようがない。


暑い中をさらに歩き、テーブルにオブジェを並べた男性のスタンドで足を止めた。

なんか小さい可愛いものがある。どこか欠けたり割れたりしているんだろうと思ったら、完璧な状態だ。

(顔にピントきてないね)

高さ4cmほどの、座った赤ん坊フィギュア。ビスク(磁器)製で、19世紀後期のものだと言われた。

この後ろからの角度が一番好きかも。

表面が粗いし、サイズも小さい一体型だから特に高級品ではないと思う。でもかわいい。