刺青風味の1960年代ニット

3月はじめのファッションウィークに合わせて、友人のヴィンテージディーラーたちが合同ポップアップストアを開催した。もちろん初日に見に行った。

いつもディーラー3人の商品でパンパンになる空間に6人の商品を並べるのは、物理的に無理では… と勝手に案じていたら、開催前日の夜にディーラーAが「新住所だよ!」という投稿をインスタにアップ。あわてて地図で確認すると、道の名前が同じで数番地ちがいである。私のほかにも誤解している常連客がまあまあいたらしい。

会場に着いてみたら、角地で、天井が高くて良いスペース!試着コーナーがうまく設置できていなかったけれど、次回には改善されていることを期待しよう。

右端から順にすべてのラックを見たあと、Yの商品からTed Lapidusのトレンチコートを羽織ってみたが、形も色もイマイチ似合っていないので却下。

ほかには欲しいものもないし雑談を終えて帰るつもりでいたら、Aが積極的にいろいろ見つくろって勧めてくれる。いいね、こういうあきらめない姿勢。見習いたい。

彼女があらためて見せてくれた品物の中に、1960年代のフランス製のプリントニットがあった。そういえば以前、この手の半袖ニットをAから買ったことがあるんだった。

鏡で見ただけで、試着せずに購入した(襟が頭位ギリギリサイズの超電子バイオマンの子供用ニットを着ていて、脱いだら髪型崩壊必至だったので)。

細かいゲージのアクリル混ニットに、蛍光色まばゆいモチーフがプリントされている。

よく見ると、極楽鳥とか鶴とか牡丹(か芍薬)の花という、いかにもアジア極東文化圏お祝い系の要素が散りばめられているではないか!

ちょうど数日前、1971年に三宅一生が刺青模様のカットソーを着て海辺に座る写真を偶然ネットで見かけて、いいなと思っていたタイミングである。こういう細かい模様は織りでも編みでもなく、プリントの醍醐味ですな。

ふと帰り道で我に返り、「もしやこれ頭が入らない可能性が?」とドキドキしていたのだが、帰宅しておそるおそる着てみたら入った!

いざとなったら肩を開いてスナップボタンかマジックテープでも取り付けようかと、そこまでシミュレーションして心の準備をしていた、やらずに済んでホッとしている(とりあえず試着しようよ、私!)。