L’Isle-sur-la-Sorgueのブロカント | 2017/08 前編

アヴィニヨン近くに住む義父宅に滞在中にも、ブロカント探訪ができるようにと日程を組み、旅行を計画して早半年(TGVの切符は、夏直前に買うと恐ろしく高いから)。

アンティーク好きな日本人の間でも知られているL’Isle-sur-la-Sorgueの、年に2回開催の大きなブロカントに行ってきた。

アヴィニヨンTGV駅からアヴィニヨン中央駅まで電車に乗り(乗車時間わずか5分)、乗り換えで半時間ほど待った後、地方線TERの各駅停車に揺られ、約30分で到着した。

駅前にはアンティーク店のびっしり詰まった建物が並ぶ。
ふらふらと遠目に様子をのぞき、写真を撮り寄り道しつつ歩くと、大きな水車のある川沿いにテントが並ぶのが見えた(実際は駅歩3分ほど)。

いわゆる街の夏祭りという様相で、現代の品物を売る家具店やインテリア雑貨店も自店前にスタンドを構えていたりする。

歩き始めてすぐに見慣れた顔を発見、パリで毎週末のように会っていたTのスタンドだ。ここに出店するつもりだと、7月に聞いていた。

パリから遠く離れた場所で、普段はパリでしか会わない知人と遭遇するのは、なんだかくすぐったいような感覚だ。
「さっきから来るのはパリの知り合いばかりだ、地方にいる気が全然しない!」と言っていた。

Tのところでは、フランス海軍のゴム引きコートを見つけた。
1950年頃の将校用コートで、未使用デッドストック品。

このM(Marine)N(Nationale)の間にイカリマークの入った制服が、ずっと欲しかった。

長いこと倉庫に積まれていたせいで所々に細かい錆びが散って迫力があって、なんだか遺跡をまとっているような気分になる。
薄ら寒い秋の雨の日が、思わず待ち遠しくなるコートだ。

Tのところで購入したもう1点は、フランス陸軍のジャケット、M47

めずらしい小さいサイズだったので、迷わず即決した。
ほどよく着古されていて、こなれたシルエットがいい。

エポーレットのボタンが真っ二つに割れているので、手持ちのベークライト製ボタンと付け替えることにする。


街に点在する、路地奥に20ほどのアンティーク屋が軒を連ねる骨董村の1つに、雰囲気の良い店があった。

奥のショーケースに飾られていた、古いジャム瓶を見せてもらう。

19世紀前半の品だと言われる。

同じ形の陶製のものに比べ、ガラス製はさらに稀少で高価なので、今まで手が出なかった。

この店でもやはり高価ではあったのだが、手に取った時の愛らしい姿と触感に魅せられ、旅先の開放感も手伝って購入する。

偏愛するゆがんだジャム瓶のコレクションが、また1つ増えた。


骨董村を出て、目抜き通り沿いに続くブロカントに戻る。
2巡ほどして、やっぱり気になって戻って買った木箱。
同じ木箱を、5年近く前にパリで買ったことがあるんだった。

19世紀の洗濯糊アミドン「Le Chat(今でも洗濯洗剤を売るメーカー)」のパッケージで、ワルそうな目つきの猫が、顔を洗っている絵が目印。
先に持っていた箱よりも色が濃い(以前の持ち主が、濃いニスを塗ったよう)。

夏のサンダルをしまって玄関に2個積み上げて、悦に入っている。