パリ10区(rue Beaurepaire)のブロカント | 2025/10

なんか最近ここで頻繁に開催されるようになった、パリ10区のブロカント。つい1ヶ月前にも来たばかりだ。

紙ものディーラーDのスタンドに寄ると、小さな地図を広げてお客さんに何やら説明をしている。あ、なにそれ、かわいい!

当のお客さんは興味なさそうだったので、すかさず手に取って、挨拶もそこそこに値段を訊いた。

これと同じ畳み方の地図を、1994年にフィレンツェのキオスクで見つけて買ったことがある(印刷物の資料としてまだ持っているはず)。シンプルで美しい開閉の仕組みにいたく感動したのを、はっきり覚えている。

このたび見つけたのはパリの地図で、厚紙の表紙はANTAR社の広告になっている。ANTARは1927年から2005年まで存在した石油化学の企業。その最盛期の1958年には、フランス全土で11000基を超すANTAR社のガソリン給油機が稼働していたという。

使用されているフォントの雰囲気から、1950〜60年代のものだろうと見当をつけていた。電話番号の表記が、交換局の略字に4桁の数字が続く形で、フランスでこの方式が使われていたのは1912年から1963年までだ。

もう少し年代を絞れればいいのにと、ネットの海に漕ぎ出したら突然、全く同じ地図の画像を発見した。「antarama」という個人運営の非常に古式なウェブサイトで、ANTARに関するあらゆる写真、ロゴ入りグッズなどが網羅されている。もともと会社内にいた人物によるものか、それとも熱烈な外部ファンによるものなのか。

とにかく、そこにははっきりと「1955年」の地図だと書いてある。1932年に始まったらしい広告入り地図の配布は、配布2度目の1938年を最後にピタリと止んでいる。ああ、第二次世界大戦か。給油施設は占領軍に抑えられていたんだろう。どうやら戦後最初の地図配布サービス再開が、この1955年の地図だったようだ。