Christian Diorのヒョウ柄シルクブラウス

10区のブロカントへ行ったあと、同じく10区で開催中のポップアップストアの最終日に駆け込んだ。

数年前にニースに拠点を移したヴィンテージ服ディーラーのYが、パリで開催されるポップアップストアの委託で店頭に立つと知らせてくれていたのだ。彼女は過去に日本企業で働いていた時期があり、何度も日本出張の経験がある。日本の食文化に詳しくて、私よりもよっぽど頻繁にお米を炊いて弁当を拵え、きなこを食べているパリジェンヌである。

入店してすぐにお互いの顔を見て「ひさしぶりー!!!」とハグ。3年ぶりの再会なのだ。メガネのフレームが変わっていたが、それ以外は変わりなし。相変わらず明るくていい。

今回のポップアップストアはオークションハウスPの主催。商品のコンディションはかなり良くて、その割には価格が抑えめで驚いた。端から順に見ていくと、気になる品がある。

よく似た2着の中から(試着もせずに)選んだのは、このブラウス。

Chiristian Diorのブラウス。極薄で儚いシルクシフォン地に、強いヒョウ柄プリントを上品にぶつけるセンスの良さ。襟が小さくて、パフスリーブなところも好きだ。

Maria Grazia Chiuriディレクション時代の、終わりの方かな… と思ったら、2021AWらしい。5年前か。

裾の近くにひっそり刺された蜂の刺繍。

このころ、8月の夫の従兄弟の結婚式にはジャケットで参列するつもりで準備していたのだが、早くも6月から酷暑日が続く予報なので何か別案を… と考えていた。30℃超えでは流石にジャケットは無理である、見た目からして暑すぎる。

このブラウスなら涼しいし、よし、これを第二候補にしよう、と購入。

結局、結婚式当日はめちゃくちゃ暑い35℃だったので、第二候補のこれを着て行った(幅広の黒いチューブトップをインナーに)。いちおう事前に調査はしていて、まあ一神教ゴリゴリの宗教セレモニーではないし、ヒョウ柄でも別に問題ないと理解した。私以外に新婦側の親族でヒョウ柄コンビネゾンのご婦人がいらしたし、杞憂だった。

フランスの市民婚参列は、みんながそれぞれの思う「清潔でおしゃれな服装」をしていればOKなのだ。紺色を着ろとかノースリーブはダメとかローヒール限定とか、そういう軍隊みたいな面倒臭いことは言われない。ちなみにこれでフランスでの参列は8回目だった。

実はこのブラウスを買ってから10日ほど後、左岸の百貨店のセール中の下着売り場で、これと全く同じものをお召しのマダムと遭遇。ベリーショートのグレイヘアに日焼けした肌と眼鏡がとてもよく似合った小柄の女性で、ブラウスの裾をベージュのテーパードパンツにインして、素足にローヒールのスリッポンだったと思う。絵に描いたような「フレンチ・リヴィエラ・スタイル」、でも「パリ・リヴ・ゴーシュ」という絶妙なパラドックス。

「おおー!すごいお手本を見てしまった、眼福!」と、歓喜して遠目に凝視。私は彼女ほど細身の小柄ではないので、裾はアウトにして、4月に買った黒いGuy Larocheのテーパードパンツと合わせて式に参列したのだった。

式の当日、午後に一度着替えに帰宅した際に(靴が痛すぎて生存が危ぶまれて)Diorのリップの真っ赤な飛沫を前身頃につけてしまっていたことに気づき、メイク落としを綿棒の先につけて必死に落とした。3日後にさて改めて洗濯をと思ったら、別の場所にも数点の飛沫を発見して撃沈。「スポッとる」を執念深く塗布し続けて、なんとか全部クリアにした。結婚式当日は暑い日だったから、リキッドタイプのリップの粘度がかなり緩くなっていたんだよね、迂闊であった。

さて、店内奥の方には主催者の品物に混じって、少しだけY自身の選んだ雑貨類が並べられていた。

1960年代のランチョンマットだそうで。眩しい高彩度のオレンジ色の綿地に、黒い円と、短いフランス語がデザインされている。

「Je vous aime(あなたが好きです)」、「Service compris(サービス料込み)」、「Fragile(壊れやすい)」、「Je suis libre ce soir(今晩の予定あいてます)」。ホームパーティーの時にこういうのを並べると楽しいよね、会話の糸口にもなるし。

まとめていっぱい買ったので、一部は将来のポップアップストアで販売する用にストックした。