ブロカントの開催数が目に見えて減っていく12月。
本格的な冬日で、防寒能力最強の装いでも震える寒さである。わざわざ出かけるなんて物好きな。
選んだブロカントは10分もかけずに見終わってしまい、せっかくパリまで出てきたのですぐに帰るのももったいない、さてどうしようかと考える。そういえば、軍ものディーラーTがポップアップストアをするって言っていたな… 徒歩圏内でもあるし、行ってみよう。こうして、寒空の中を15分ほど歩く物好きが誕生。
Tは年末に長めのポップアップストアを開くのだけれど、今回の会場はいつもより小さい。ただでさえ狭い空間にパンパンに商品が積み上げられ、何人かのお客さんがそれぞれ試着に勤しんでいて、すれ違うにもひと苦労である。
入口の横の、マネキンに着せられている短いジャケットが気になった。ふわっふわオブふわふわだよ。
裏地に使われた質のいい生地とブランド名(Yves Salomon)からフェイクではないと確信した。が、黒地に白のほっそい極小書体で印刷された素材タグを、暗い店内で読むのに難儀する。なんかラテン語っぽい… しばらく部分的にまちがった綴りで検索を繰り返し、Google検索の数度目のサジェスチョンで、やっと正しい単語に辿りついた。
Ondatra zibethicus、和名はマスクラット。ファー素材としては初めて見た。1990-2000年代あたりの品物かな…
襟が巨大なハイネックで、中に大きめのショールやマフラーを巻いてちょうどいい感じ(巻かないと風が入って寒い)。
防寒レベルは普通だけれど、短くて軽くて、ふだん気楽に着られる。この丈に濃色のパンツを合わせると確実に足が長く見えるし、カフェの椅子の背もたれに掛けても床につかないのが便利。
もうさっそく何度か着た。