パリ4区(Pont Louis Philippe)のブロカント | 2021/08

1年ぶりに来る、2回目のブロカント。

毎年8月15日には、8区のアレクサンドル三世橋の下でブロカントが開催されていた。
あちらでの開催許可が去年から下りなくなって、この橋がこれから先を引き継ぐことになったらしい。

この日、私は紙ものディーラーDにプレゼントを用意していた。

Dが厚紙に手書きしたインスタグラムのアカウント名が解読不能なのを見つけ、こりゃいかんと思い、自宅でひっそり看板を作ってあったのだ。

厚紙製の折り畳み式で、持ち運ぶときには平たくなり、使うときには自立し、紐で吊り下げることも可能なシステムにデザイン。

いちいちアカウントの文字を打って検索せずとも、QRコードをスキャンすれば彼女のインスタアカウントに飛べるようにした。

Dはとてもわかりやすくキャーキャー喜んでくれて、なんと商品を1点プレゼントしてくれると言う。

いや、そんなつもりではなかったんだけどな… 勝手に楽しく作って押し付けたようなもんだし。
でも彼女はあげると言って譲らないので、ありがたく頂いてきた。

1904年11月10日号 La Vie au grand air

1904年発行の“La Vie au grand air”(現代風に超訳すると「自然と暮らす!」みたいなノリかな)、1898年発行のスポーツ週刊誌の、表紙。

1904年11月10日号(発行7年目の322号、毎週木曜日発行)の表紙は「世界でいちばん速い電車」!このレトロな車体が世界一だったのか、なんかいいな。

1911年には雑誌名が“Vie au grand air”と短くなり、途中に第一次世界大戦による休刊を挟みつつ、1922年まで発行された。

ボルドー出身で自転車競技ファンのPierre Lafitteが発行人。

1904年ごろからは表紙に大きく1つのイメージを押し出すようになり、躍動感あるれる超ズームアップのスポーツ選手が配置されることも。当時としてはかなり大胆なグラフィックデザインの雑誌だったようだ。

表紙の裏には広告が並んでいる。

これっておそらく、あのメルセデス・ベンツだよね?パリのシャンゼリゼ大通り70番地(現在はセフォラ旗艦店になっている)にショールームがあった、と。

当時、自動車は馬を怖がらせる醜悪な機械だと見做されていた。馬車の方がよっぽど重要な交通手段だったから。この広告に登場する馬もめっちゃ怖がってるように見える。いちいち怖がって揺れる馬上より、機械の車の方がクールでいいよ、ってなメッセージだろうか。

La Vie au grand air, Public domain, via Wikimedia Commons
La Vie au grand air, Public domain, via Wikimedia Commons

(1911年12月の航空ショー会場にて、La Vie au grand air誌を宣伝・販売するスタンドの様子)


さて、出店者数10くらいのミニミニブロカントなので、ほんとうに買うものがない。困った…と思ったら、大量のピンバッジが目に留まる。

この業者は何度も見かけているのだけれど、買い物はおろか、スタンドに入ったことすらなかった。
内容薄々のブロカントの中、見るものがあるのがうれしくてつい、ピンバッジを見始めた。

6個くらいに見当をつけて値段を訊いて、ぶっ飛んだ。高い!

ただ、その辺で見かけるピンバッジではなくて、1980年代のめずらしいものしか売っていないようではある。それにしても高い(ピンバッジ1個でまあまあいいランチに行けるくらいのものもあった)ので、2個に絞った。

RTL 1980s Pins chat noir

RTLはラジオ局。黒猫とヒヨコが向かい合っていて、その下に « Pour bien s’entendre »のコピー。いいな、このキャッチコピー。これは買い、猫だし。

もう1個はギター。

ケニー・ロジャースの綴りがちがうのでバッタもんかと思ったら、いくつかの綴りで顔を使い分けていた(例えば自分がメインの時と、助っ人でギター弾く時とか)という情報を発見。なのでこれはやはりカントリー歌手のKenny Rogersのピンバッジだ。