パリ3区(rue de Bretagne)のブロカント | 2026/05 その4

パリ3区の大ブロカント、2日目の記録。まだ開催2日目なのに来るのは4度目という、皆勤200%の熱心さである。

初日までの様子は「その1」「その2」「その3」で↓。

この日は夫と一緒に行った。いつもと同じ道順で、郵便局の前に陣取るTの軍ものスタンドを経由して、区役所前の道に入る。アクセサリーを売るFのスタンドは混んでいるので遠目に見ただけで、ヴィンテージ服のSのところへ。

前日にも見かけたはずのジャケットが、突然とてもよく思えてきたので試着(こういうことがよくある)。

予想よりもだいぶ似合ったことだし、購入を決めた。夏用のジャケットはいくらあってもうれしい。皆がこぞってキャミソールやTシャツを着る季節に、あえて涼しい顔でジャケットとかシャツをパリッと着るのがいいのだ(ただし、気温にも限度がある)。

Jean Baillyという初見のブランド。

登記上は1988年7月に創業、1991年1月に閉業。2年半しか存在しなかった薄命ブランドなのかと思いかけたが、おそらく小売店を自社展開しようとしたけどあんまり上手くいかずにすぐやめた、というよくあるパターンなのかも(事実は知らない)。1983年の雑誌広告なんかもあるし、ブランドとしては人気があって、そこそこ成功していたもよう。

1983年の女性誌広告。コーディネートされている靴のセンスが良くて驚く、こういうの欲しいな。

鮮やかなブルーと白のストライプで、

手触りの良い上質なポリエステル生地が使われている。1980年代のポリエステル、速乾で艶があってアイロンがけも超楽しい(というかアイロンほぼ要らない)から大好きだ。

襟の後ろに目立つ汚れがあったのだけれど、「スポッとる」を塗ってしばらく置いてから洗濯機で洗ったらすっきり落ちた。前の持ち主は律儀にドライクリーニングに出していたんだろうな。

仕事では6月にすでに着たのだが、私服としてはまだ出番がない。今年の夏が暑すぎて。


区役所前の道と平行の小さな道沿いのスタンドを見ていたら、知った顔の女性が座っている!軍ものスタンドのTのところで販売ヘルプをときどき頼まれている、Dだ。彼女は常に1950年代の映画女優みたいなスタイルでバッチリ決めている。

なぜここに、と思ったら、スタンドの主が彼女の叔母様だそうで。私は前日ここに寄った際に気になった版画があったのでお値段を訊いてみたのだが、予算オーバーで諦めたのだ。だからDの叔母様と私は初対面ではなかった。

知り合いがいることだし、小さなファイルに挟まれた作品をゆっくり見せてもらう。すると、なかなか良い作品があるではないか。

前日にいいなと思った大きくて高価な作品と同じアーティストの、小品。

Tony Souliéという名前だと教えてもらい、帰宅後に検索したら、なんとけっこう有名なアーティストだった。旅をして撮影をして、その写真を元にリトグラフ版画を刷り、アクリル絵の具も使う。ちょっとWim Wendersっぽい雰囲気があるなと思ったら、同じことを書いている評論家がいた。

作品のタイトルは「Las Vegas Casino」だということが、あるギャラリーのサイトのおかげで判明。

Dの叔母様は「友達の作品を頼まれて置いて売っている」という気楽な感じだった。しかも、別のアーティストの版画の値段を訊いても、誰かが全く別の時代の古びた風景画の油絵作品の値段を訊いても、同じ数字の返事しか返ってこない。「アートどれでも○○○ユーロ均一」という気分だったのか。まるで不条理で意味深な演劇でも見せられているようで、思わず笑いが込み上げる。

5点ほど全く同じ作品があった中から吟味した。また額装案件が増えたよ。


さて、ブロカントを見終えて、Temple通りを南に入っていく。数日前に夫が6月の合同展覧会への参加を打診されたので、その開催者であるアートギャラリーに寄ろうと計画していたのだ。私はすでに木曜日の夕方にも様子を見に来ているのだけれど、夫は初めて。

ちょうど開催中だった別のグループ展には、Anna Lauriniという女性アーティストも参加していた。彼女は自分の作品を街のあちこちの壁に貼っているので、特徴ある作風に見覚えのある人も少なくないはず。

夫はその貼られた作品を含む壁の写真を撮ったことがあり、それを私が大阪でのポップアップストア「Achikochiz」で売るTシャツに仕立てたこともある。しかも、件のTシャツは売れずにパリに持って帰ってきていた。もうAnna本人にプレゼントしたい気満々である。

初めましての挨拶から2分後に、「実は見せたいものがありまして」と包みを取り出す。知らなかったとはいえ勝手に作品をTシャツにしちゃったから怒られるかもなと思ったら、目を輝かせていた。すかさず「プレゼントします」と言うと、すんごい喜んでハグの嵐。

じゃあ、と帰ろうとしたら、ギャラリーで販売中の手描きTシャツをくれようとしたので「いやいやそんなつもりじゃないし、気持ちだけで!贈ったTシャツを着てくれたら嬉しいし!」とお断り。すると、黒い大きなファイルを渡されて、「その中で好きなやつを選んで」と。開くと、直筆の作品がファイルされているではないか。

思いがけずエビで鯛を20尾くらい釣る感じになってしまう… なんだか悪いなと思いつつ、好きな作品があったので2人で選ばせてもらった。

古い楽譜や広告紙の上に直接描くシリーズの中から、選んだ1枚。「これね!」と言ってファイルから取り出し、その場でサインを入れてくれた。

こうやって額装案件がどんどん積み上がっていくのだ。楽しいね!