5月の半ばに用事があって初めて歩いた道沿いに、なんだか良さげな雰囲気のアンティーク雑貨店をみつけた。
店主の男性に見覚えが… と思ったら、パリ3区の大きなブロカントに出店しているのを何度か見かけたことがあったのだった。
広い店内に盛りだくさんの品物をゆっくり見せてもらって、ついでにお店の近辺の様子などの話も聞かせてもらう。とても親切に話をしてくださったので、うれしくなって買い物もしてしまう私。

昔々に郵便で貴重品を送るときに使われた、専用木箱を買った。
10年前と14年近く前にも見つけたことがあるので、これで3つ目だ。
ただし、今までに見た中ではダントツに大きくて、容積は約2倍くらい。12 x 10 x 6,5cmもある。

保険の補償金額は1000フラン。それにしても古そうだな、タイプライター打ちではなくて手書きだ。
差出人は
Bijouterie à la Renaissance S.A.
47, Bd St. Martin, Paris
宛先は
Monsieur Legrand
144, Rue de Paris
Saint-Just-en-Chaussée
(Oise)
この宝飾店は1884年から1930年代まで存在したらしい。

消印が欠けている… が、Paul-Albert LaurensがデザインしてAntoin Delzersが版下制作に当たった、Paix(平和)という名のシリーズの50サンチーム切手が手掛かりになる。
この切手の発売は1932年9月で、1941年5月まで流通・使用されていたということは、消印の「36」という数字は1936年を指すのではなかろうか。
当時の1000フランの価値は、事務職や熟練労働者の基本月給くらい(ちなみにINSEEが現時点2026年での購買力に換算すると600ユーロ前後に当たるらしい)。箱の大きさから想像するに、宝飾店で修理されたのは男性用の腕時計とかかな…

釘を引っ掛けて閉める感触が好きで、つい何度も開閉してしまう。