フランス空軍メカ技術者のワークジャケット

13区のブロカントをさっさと見終わってしまったので、メトロで右岸に移動。

ブルターニュ在住の軍ものディーラーTが、またパリ市内でポップアップストアを出店していたのだ。

12月と同じ場所で、メンズのファッションウィークに合わせての開催だったものだから、大盛況で嬉しそう。私たちがお店にいた間にも、ひっきりなしにお客さんが出入りしていた。

買うものは特にないかなと思っていたのだが、あるジャケットが目を惹く。

民間企業のワークウェアかなと思ったら、なんとフランス軍のものだった!

フランス空軍のメカニック技術者用ジャケット、M1960。呼び名のとおり1960年誕生のデザインで、この個体は1971年製造のデッドストックである。

袖口の作りが面白い。ボタンが内側に付いているので、ボタンを留めるとカフス留めのようになる。

裾の両脇についた四角いアジャスターは金具ではなく、黒いゴム。明らかに電気絶縁性を考慮した選択。比翼ボタンといい、いかにも「危険をともなう作業を任された人の仕事着」って感じだ。

タグ表記の「88」は胸囲(cm)、「PM」はpetites manchesの略で「短い袖」。試しに「GM(grandes manches)」も着てみたら、やっぱりちょっと袖が長かった。

遠目にはグレーなのだが、デニムの裏側みたいな生地。透明感があって、決してやぼったくないグレー。

撮影前にシワを伸ばそうとアイロンを置いた瞬間、滑りが異常に悪いことに気づいた。コットンなのになぜ、と思いあらためて素材表示を見たら、アイロンがけ禁止とある。そっか、特殊なコーティング(難燃性のため?)がされている作業着ってことね。熱で溶けかかったコーティング剤がアイロンの側にくっついてしまったので、そっちも念入りに掃除する。そういうわけで最初の画像の写りがややシワシワなのである。

このあと、当て布を使ってアイロンをかけてみたらうまくいった。

プラスチックの白いボタンもいい。こういう力の抜けた感じのデザインが、フランス軍ヴィンテージの魅力だと思う。