パリ3区(rue de Bretagne)のブロカント | 2019/05 前編

楽しみにしていた大きなブロカント。例年よりも1週間早い開催だった。

いつもと違う順で回ってみようかなと珍しく思い立ち、道を曲がる直前にTに声をかけられた。なので結局いつもと同じように、まずは軍物ディーラーTのスタンドへ。

「見て見て、これ好きでしょ!」と見せてくれたのがこのジャケット。

こんなの大好きに決まっている。肩幅40cmとサイズはぴったりだし状態も良いし、値段を訊く前にもう買う決心をしていた。
ボタンの素材から、1940年より前の物だろうということで意見が一致。

さらに、しばらく欲しいと思いつつピンとくるものがなかったサロペットを、やっと入手する。

Livradorの、1960年代あたりかな。比較的小さなサイズで、裾上げをほどいた状態で売られていた。


何度か買い物をしたことのある女性の衣類のスタンドへ。マネキンが着ていたケープのようなものが気になった。

試着を勧められたので着てみたら、ケープではなくてボレロだった。1950年代の品物だそう。

後ろから見るとフードのように見えるけれど、これは襟の後ろのデザイン。

内側にラベルがあり、シリアルナンバーも記載されている。

かなり良い状態のアストラカンなのだが、倉庫の匂いが強い。
ファブリーズをかけまくったけれど効果なく、試供品の香水を振りかけたら、数日で香水が抜けるのと一緒に倉庫臭も弱まった気がする。なのでこの方法をしばらく続けてみる。


衣類を中心に揃えるわりと大きめのスタンドで、1950年代のカットワーク刺繍のトップを購入。

そのはす向かいあたりの手芸品のスタンドでは、フランス海軍のシャツを見つけた(まちがえて、翌日に買ったボーダーカットソーと一緒に撮ってしまった)。これも1950年代らしい。

フランス東部の町、VaucouleursのSeiligmannというメーカーが作ったのだな。


品出し真っ最中の若い女性たちのスタンドで、古いハンガーが大量に箱に入っているのを発見。

好みの文字の入ったのを掘り出して、4本だけ買った。下の3本はドイツ語かな。戦前だと思うので、1940年くらい?


ワークウェアをたくさん売っている男性のスタンド。Philippsの乾電池のキャンペーン用だと思われる、パイル地の長袖カットソーが面白いので購入。1980年代のデッドストック。

フランス語で乾電池のことをpile(ピル)と言うのだが、pile(英語のパイル地)とかけているのがニクい。


ベレー帽をかぶった、いかにもバスク人な風貌の男性から、古いバスク織りのテーブルクロスとナプキンを買う。

数年前に同じ場所にスタンドを構えていた女性から、バスクの器を買ったことがあるけれど、もしや彼女のご家族だろうか。

クロスは145cm角で、うちのテーブルにぴったりだ。ほぼ未使用らしい。1930年代あたりまで作られていたこのタイプの織物は、もう最近ではほとんど見つからない。


公園横に、ミニサイズのペナントを売るスタンドがあった。

4枚くらいなら買えるかなと思って厳選したら資金が微妙に足りず(もう朝からお金おろしまくってるし)、財布の中からかき集めた有り金ぜんぶで3枚だけ売ってもらえるかと訊いたら、売ってくれた。

フィンランドとスウェーデンの国旗を選んだ。スウェーデンの方はシルクっぽい手触り。


さあもう何も買うまいぞ、と歩いていたら、また綺麗なものが卓上に並んでいるのを見つけてしまう。これ、ヴィンテージドレスのディーラーLがつけていたような気がする… やっぱり素敵だ… と、大荷物を下ろして試着する。

知らなかったのだけれど、アール・デコ時代のブレスレットで、有名な品物なのだそうだ。結局またATMに行った(さっきのペナントのおじちゃん、ごめんね)。

黒、赤と黒ミックス、赤、と色ちがいがあって迷ったあげく、青にした。とても気に入っている。

追記 :
別件の調べ物をしていたら偶然、Jacob Bengelという有名なドイツ人デザイナーのものだったということを知る。シャネルやランヴァンのコスチュームジュエリー製造も手がけていた。1925年のデザインで、クロームとガラライト(牛乳のタンパク質から作る樹脂で、日本語ではカゼイン樹脂と呼ばれる)が組み合わわされている。