パリのギャラリーで人生初の展覧会(夫が)

5月半ばを過ぎたあたりに、夫が唐突に「なんかマレのギャラリーから展覧会のお誘いが来た。ストリートアートがテーマのグループ展だって」と言う。

メッセージの内容はまともだし、実在するレンタルギャラリーである。とりあえずは私が翌日、偵察に行くことにした。

マレのあたりにはよく来ているとは言え、改めて歩くのは初めてのGravilliers通り。おお、なんか素敵なアンティーク&ブロカントのお店があるぞ、帰りに寄っちゃお!と横目に見ながらギャラリーのある番地に着くと、シャッターが閉まっている。

休廊日なのは知りつつ、内部の様子はウインドーから覗けるだろうと思い込んでいた。そうか、完全に閉めてしまうスタイルなのか。

天井の高さとかの感じをざっと掴みたかったのだが、鉄のシャッターで覆われて何も見えないのでどうしようもない。さっさと諦めて斜め向かいのアンティーク雑貨店に入り、店主が感じのいい人だったのでつい長いこと話し込み、買い物をしてこの日は帰宅。

その3日後の夕方。パリ3区の大ブロカントに行って、ヴェルニサージュ(オープニングパーティー。パリでは木曜日の夕方開催のギャラリーが多い)開始の少し前にギャラリーに到着した。

ギャラリーの主催者Sに挨拶をし、アシスタントらしき女性から話を聞く。天井高を目見当で測り、什器と備品の大きさと数をだいたいざっくり数え、ヴェルニサージュがどんな様子なのかを把握してメモ。グループ展なので、どのあたりに展示させてもらうのが適切かをなんとなく想像する。

このさらに2日後の土曜日。3区のブロカントに行った後、今度は夫と一緒に(やっと本人登場)ギャラリーに行った。これにて参加を決心したので、本番まであと3週間しかない。

縮小1/5でギャラリーの壁の図を作り、まずは展示作品数とサイズを決めた。それから作品を選び、レイアウトを決め、額を調達し、写真プリント業者を見つけ、用紙を選びプリント発注、額装を済ませる。本を販売するための什器を拵え、アーティスト紹介とキャプションをデザインして印刷し、それをスチレンボードに貼ってカット。ここまでは私の仕事(本業グラフィックデザイナーだよ)。宣伝用の短い動画を作り、こっそりフライヤーとステッカーも用意してあげた、彼の誕生日が近かったし。

当日の搬入はなかなか大変だったけれど(展示アーティストがジャンルまちまちで15人とかいるから)、時間内に設置完了した。まあ、事前にきっちり準備して行ったからね。

夫は写真が好きで、独学で試行錯誤して何年も撮り溜めてきた。この展覧会のために準備したプリント作品は、パリやアヴィニヨンの街の壁に描かれたグラフィティーを撮影したシリーズから選んだ。

全12点中の左の3点は、ブロカントで買った古い額をマットな黒に塗って使用。楕円型のガラスの円周を削って滑らかにするのが大仕事だったな…(これは去年の夏にやってあった)

左奥にちらっと見えるカラフルな作品を描いたアーティストは、なんと夫の母方の従兄弟の親友だという、びっくり!

「親友に展覧会を知らせたら、従兄弟も同じ日程で同じ場所で展覧会するって言っててさ」と。こんな漫画みたいな偶然ってあるんだ。

このギャラリーではあらゆるテープ類の使用厳禁で、ゆるゆるのマスキングテープすらアウト。「ひっつき虫」と日本で呼んでいた、白いのびる消しゴムみたいなアレ(Patafix)しか使えない。なので、右下隅で自費出版物の見本誌を立て掛ける白いミニ什器を固定しているのも、ひっつき虫。

手前中段と下段の計4点は、展覧会の開場20分後にまとめ買いされた。人生初展覧会でこれは快挙、ブラボー!しかし翌日にオープニングパーティーを控えて、壁に穴を開けた状態は非常にマズい。私はその後、額を買いに行って、画像ファイルを取りに帰宅してからパリで追加の急品プリントを調達。ギャラリーに戻って現場で額装しようとしたけど手元が暗くて上手くいかないので、結局は自宅で翌朝の作業になった。あの日は私めっちゃ働いたよね…

ヴェルニサージュにはパリに住む親戚がほぼ全員かわるがわる来てくれて、私のお友達も何人も寄ってくれて、とても賑やかだった。人が多過ぎてクーラーがぶっ壊れてすんごい暑かったけど。

夫は10月にもグループ展(特にテーマはないらしい)に参加することになっているので、お近くの方はぜひ。今度は大阪の街の風景写真です。