パリ16区(Av. du Président-Wilson)のブロカント | 2020/02

2年以上ぶりに来た、16区のブロカント。

暴風雨(Ciara)の荒れ狂う週末だった。他に特にすることもないので、16区のブロカントに出かける。


以前にブラウスを買ったことのある、老夫婦ディーラーが出店していた。

いつも夫婦そろって仲良く出店していて、説明はていねいだし、品物は完璧にクリーニングされているし、趣味はいいしで言うことなしのスタンド。

けっこう混んでいたのでしばらく順番を待って、やっと目当ての品を見せてもらった。

1930年代のレース刺繍ブラウス

1930年代の女性用ブラウス。
ほとんど着用されなかったのではないだろうか、まるで新品のような輝きである。

1930年代のレース刺繍ブラウス

このレース刺繍の繊細で美しいこと!
サイズは42くらいで、昔のブラウスにしてはめずらしく大きめなのがいい(昔の人は小柄だったから、34くらいのサイズならよく見つかる)。


次に、顔見知りの女性2人組のスタンドへ。
またもやスタンドが混んでいたのでしばらく入り口で待って、ひと段落したタイミングであいさつをする。

この前に会った時は、楽器ケースに隠れて飛行機に乗った人の話で盛り上がったんだった。その前は有吉佐和子の話。

唐突に店主が「あなた、Carnet de bal(「舞踏会手帳」とでも訳そうか)をコレクションしている?」と訊いてきた。
コレクション…というにはまだ1つしか持っていないのだけれど、できれば集めたいと思っているのでとっさに頷く。

すると、「ちょっと待ってて」と言い残して車の方へ行ってしまった。ドキドキ、どんなのだろうか、そして、どんなお値段なのだろうか。

19世紀後半のCarnet de bal

彼女が戻ってきて見せてくれたのは、なんとも美しいべっ甲の表紙をまとった、小さな手帳だった。表紙には銀細工でイニシャルがあしらわれている。

この前はじめてのCarnet de balを入手した時に画像検索で見つけて、いいなと思っていたタイプだ。19世紀後半の品物。

19世紀後半のCarnet de bal

背表紙は葡萄色のビロードで、見返しにはバラ色のモアレ生地。
本文の紙は大胆に虫喰いされてしまっているものの、それも含めてアンティークの味である。

19世紀後半のCarnet de bal

「思い出」の文字の下の男女のイラストがまたかわいい、キュンキュンくるな、これ。

19世紀後半のCarnet de bal

ところで、やっとこのスタンドの主の女性の名前がわかったかもしれない。おそらくMさん、これからはここでもそう呼ぶことにする。