1748年のパリの地図

9区の住民バザーからの帰り道。

行きとはちがう駅からメトロに乗ろうとして、道の向かい側に古書店があることに気づいた。

ショーウィンドーには、古い版画に混じって1点だけ、小さなパリの地図がある。相当古いものなのに、超高価というわけでもない(少し傷んでいるから)。吸い寄せられるようにドアを開けると、古紙の芳醇な香りに包まれた。

ショーウィンドーの地図を見せて欲しいと店主に告げる。ショーウィンドーの仕組みも古式ゆかしい。

1748年のパリ地図

1748年の発行。すでに持っている中では最古の1821年の地図を軽々と抜いて、コレクション中で最も古い地図となった。

1748年のパリ地図

オスマンによる都市計画よりもずっと前の姿のパリ。

1748年のパリ地図

15区の大部分はグルネル平野という名で呼ばれ、今エッフェル塔のあるあたりにはグルネル城というお城がある。

アンヴァリッドはパリ左岸の西端にあったのだな。病院とお墓だし、辺境に作るのが公衆衛生上の常識だったのだ、昔は。

1748年のパリ地図

シャンゼリゼあたりは、その名のとおりの野原(champs)である。草木以外には何もない。

1748年のパリ地図

そして、ルーヴル宮が小さい(真ん中の黒い太線の正方形)!ルーヴル美術館で言うところの、「リシュリュー翼」部分がない。
チュイルリーのつづりがThuilleriesなのもおもしろいな(今はTuilleriesと書く)。

このように小さい通りがごちゃごちゃに入り組んでいるのを、オスマンがぶっ壊して再開発したのが今のパリ。今の姿も好きだけれど、オスマン計画以前の様子も少し見てみたかったな、と思う。CGで再現するプロジェクトとか、そういうのはないんだろうか。