パリ2区(Passage des Panoramas)のブロカント | 2016/11

去年は延期されたんだった、と思い出しつつ訪れた、2区のブロカント。
地域住民とプロが入り混じってスタンドを並べていて、いつ行っても楽しいところ。もともと狭い上に人が多いので、歩くのは大変だけれど(元気な時に行くのを推奨)。

好きで少しずつ集めている、古いレース編みの手袋。おそらく1930年代ごろの品だ。編み模様が控えめで品が良く、試着させてもらったらサイズはぴったり、
状態も良かったので即決した。

アルミ製の指輪を2個。

19世紀後半の普仏戦争時に発祥し、第一次世界大戦中に広く知られるようになった手仕事の品で、Art du Poilu(兵隊芸術)ともArtisanat de tranchée(塹壕工芸。トレンチ・コートの「トレンチ」のフランス語がtranchée)とも呼ばれる。

兵役中の男性が、真鍮の薬莢や壊れたアルミの食器など、軍の廃棄物を使って創作した、小物や装飾品である。

民間人も大々的に召集された第一次世界大戦では、本職が工芸職人やアーティスト、という兵士も少なくなかった。

地上の塹壕戦がメインの当時は、作戦決行までの待機時間が、数日から数週間と長い。休息日や隙間の時間を見つけては、創作に勤しんだ者も多かったという。

故郷で待つ恋人に贈る指輪、または自分用のライターや煙草入れなどが作られた。手仕事に集中することで、前線のストレスが多少なりとも解消され、人間的な感情を取り戻す時間を持てたという面もあったいう。

私が見つけたのは2個ともアルミ製。
1つは中央に十字架と、その左に1914、右に1916と彫られている。
1914年から1916年に兵役に就いた人の作品だと思う。

もう1つは、ジャンヌ・ダルクの時代からフランスでは愛国心の象徴であった、ロレーヌ十字が中央に。その両脇に、四つ葉のクローバーが寄り添うデザイン。