パリ14区(Av. de l’Observatoire)のブロカント | 2016/08

これまた去年も同じ時期に来た、14区のブロカント。
8月中はパリ市内でのブロカント開催が極端に減るので、毎年同じような所をウロウロしている。

去年も買い物をした気のするスタンドで、モノクロ写真を4枚買った。

音楽スタジオと思しき白枠の写真には、ピアノやトロンボーンやフルートに混じって、ヤマハ製ミキサー・アンプEM-60A(1970年代初期発売)の姿も見られる。
1970年から1980年頃の撮影だと思われる。

女性が猫を抱いた室内写真は、1960年代あたりのものだろうか?
同じ被写体の写真がたくさんあった中から、「あ、この人は猫だけじゃなくて犬も飼っていたんだ!」と分かった、この1枚を選ぶ。

「妻と猫」なのか「母と猫」なのか、「友人と猫」または「姉か妹と猫」、詳しい関係は分からないけれど、同居人が撮影した私的な写真だと思う。
そして、現像も自分で行ったようで、一般的な印画紙ではないプリント。

撮った人も撮られている人も、心から猫を愛している感じがビンビン伝わって来て、大量の写真を夢中で見つづけた。

すでにこの世を去ったであろう彼らの人生に無関係な外国人が、こうして未来のある日、蚤の市の写真の山を掻き分けて見つけた幸せそうな姿に、胸を熱くしていたりする。他人の思い出なのに。

農家の風景を撮影した1枚には、金属のようなマットな反射が。
臭化銀プリントの特徴なので、1900年頃ではないか、と古い写真マニアの夫。

どこかの街角の様子を撮ったもの。女性の髪型と服装の感じから、これも1900年あたりか… albumen print(鶏卵紙プリント)と見え、黄色っぽい色調。


追記 :
どうやらこれは鶏卵紙プリントではなく、aristotypeというプリント法のよう。
表面が鶏卵紙よりもずっと艶々で薄いのを不思議に思った夫(=古い写真蒐集マニア)が調べてくれた。

このアリスト印画法では、塩化銀コロジオンまたは塩化銀ゼラチンを塗った感光紙を使用するらしい。

写真媒体の発明以来しばらくは、あらゆる種類の現像法が試されていた(分かっているポジ版プリント法だけで28種類もある)。

おそらく光に弱いので、保存に気をつけなければ。


手芸用品や布を売るスタンドで、サイズ表示用の刺繍リボンも購入。
衣服のサイズ表記が義務づけられたのが第二次世界大戦後なので、1950年代の品物だろう、と売り主の女性。
そうか、20世紀前半は主に仕立て服の時代で、既製服は少なかったのだ。

48と36、同じ数字が連続してたくさん並ぶ様子が、なぜか好きだ。
「1つずつ切り離して服に縫いつける」という明確な用途があって作られた物が、けっきょく使われずにそのまま残っている姿に惹かれる。業務用品が好きなのだ。