パリ12区(Bd. de la Bastille)のブロカント | 2016/07

7月に入ると、ブロカントの開催数も出展者数もしだいに減って行く。
ブルターニュ地方や南フランスの海辺の方がパリジャンが多いので、一緒に移動した方がよっぽど儲かるんだ、とも。

少ない選択肢の中、知人2名がスタンドを出すと言うので、初めて訪れたブロカント。

郵便用の木箱を見つけた。

宝飾品の修理送り分(または預かり分)や、時計の交換部品をやり取りする際に使われた、貴重品専用送付箱。

住所の部分が削り取られているのは、見ず知らずの他人に住所が知られることのないよう、古物業者に売り渡す前に消したかったのだろう。

上辺沿いに、「内容物の価格申告50000フラン」と2行でタイピングされている。

底面には切手がびっしり。
右上の緑色のマリアンヌ切手が1945年発表のデザイン、消印にも1945という西暦が読み取れるので、1945年の木箱ということだ。

そこで、先ほど見た内容物の価格申告額を、仮に1945年頃の旧フランの価値で換算してみる。2016年現在のユーロ換算で約5000ユーロ、宝石のついた指輪だったらこれくらいの値段なので納得する。

切手に混じって「パリ8区」と書かれた紙も貼られているので、シャンゼリゼ大通りに店を構える、有名宝飾店が差出人だったのかも知れない。

どこから眺めても素敵で、ついたくさん撮ってしまった。

掌に載るサイズの中に「錆びた小さい釘」「鉤型のブリキ製金具」「白い紐」「赤い封蝋」「黄色く変色した紙」「黒いタイプライター文字」「切手」と、すき間なく要素が詰まっていて、小宇宙のような魅力と存在感だ。

この後、知人Gのスタンドで、フランス軍の迷彩柄ショートパンツのデッドストックを買う(2着目)。サイズを見た目で適当に判断してしまい、家で改めてはいたらわりと大きかった。でも部屋着だからいいや。