Givernyのモネの家

画家モネの家に行って来た。
通算3度目、約10年ぶりだと思う。

パリのサン=ラザール駅からSNCF線の急行列車に乗り、Vernon駅まで45分。

到着ホームから地下道を通り、駅舎の正面出口を出る。
右前方の小道に停車する、有料シャトルバスに揺られて数分。
降車した砂地の駐車場からは徒歩8分ほど。

昼前に着く電車でゆっくり向かったので、入場に15分ほど行列したものの、カラッと晴れていたので苦にならない。

直前に並んでいた北欧系の母親と息子(高校生くらい?フィンランド語でもスウェーデン語でもなく、服装の雰囲気からデンマーク人かな、と想像)と思しき2人組が、延々とおしゃべりに興じていた。

モネの作品を目当てにというよりは、彼の素晴らしい浮世絵コレクションを鑑賞しに来た。

広重、歌磨呂、北斎、写楽らの浮世絵を、鼻がつくほどの距離で鑑賞できるのは、世界中探してもここくらいじゃないかと。
初訪問時の衝撃は、今でもはっきり覚えている。

斬新な構図の馬のいる風景は、広重画。

同じ白猫の絵のマッチ箱用の版画(昭和初期の刷り)を持っているのだが、あれって元は広重の絵だったんだ。

モネは猫が好きだったようで、親近感が湧く。
妙に存在感のある、陶製猫の置物。

鑑賞順路の終わりに位置する、台所と食卓の展示室。
青絵のタイルと、庭の光を反射する銅鍋の赤い輝きのコントラストに、目が覚めるようだ。

モネは、Créil et MontereauのJaponの器を愛用したことで有名である。
食器棚に脚つきの果物鉢を見つけて、「同じシリーズ持ってる!」と、うれしくなった。

ちなみに併設ミュージアムショップではJaponシリーズのレプリカが販売されていて、なぜか本物のアンティークより高価(しかも絵つけが完璧でツルツルすぎて、昔の手工業品の不器用さと不完全さを愛する身には、おもしろみに欠ける)。

古いオーブン台。カッコいい…

8月半ばだったので、庭の花の勢いが、6月頃に比べると弱いような。
そして、かの有名な池に1輪も睡蓮が咲いていないのは、ちょっとさびしい。

観光客が太鼓橋の上で団子になってセルフィー撮影に励んでいて、それはまあまあ怖かった。

同じ通り沿いのカフェテラスで昼食をとった。
サンドイッチがシャンゼリゼかと思うほど高い。シードルが売られていて、ノルマンディー地方の端っこに来た旅情がちょびっと増幅された。次回は、モネや友人の画家らも通ったというビストロで、食事をしたいものだ。

食事のあとは、小さな村を散歩することに。

バスの中でもらったリーフレットに載っていた、Musée de Mécanique Naturelle(自然力学博物館?) に興味を惹かれて探した。

夏休み中は週1日のみ開館というマイクロサイズの村役場の、はす向かいに建つ農家の納屋が、目的の博物館だった。思わず見すごしそうになった。

19世紀末から20世紀初頭の大型機械が、ところ狭しと数十台も並ぶ様子は圧巻。

各機械に添えられた、手作りの説明書きパネルを読むのも楽しい。

スチームパンク好きにはたまらないと思う。

入場料は、任意の金額を入り口の寄付箱に入れるというシステム。
おじさん1人で全ての機械の手入れをしていると思うと、せめて1人5ユーロくらいは払わないと申し訳ない気がした。

ここでは定期的に大きな「自然力学祭り」が開催され、ヨーロッパ中から古いメカ愛好家が集まるそう。

帰りのパリ行き電車まで時間があったので、Vernon駅周辺を散歩していたら、古い外壁広告を見つけた。