パリ4区(Village Saint-Paul)のブロカント | 2015/02

やむ気配のない雨の日、なぜか傘をさしてまで訪れたパリ4区。

このブロカントにはプロの業者しか出ないのだが(毎回ほぼ同じ顔触れ)、中に普段は見かけないスタンドが1つあって、賑わっていた(雨なのに!)。

他のスタンドを冷やかして客足が引くのを待って再訪、改めてガラスケース内の品を眺めると、面白い物がたくさんあるではないか。

銀製の極小サイズの手押し車。
大人用のコレクション模型なのだろうか、車輪もちゃんと回転する。

以前見つけたオピウム(アヘン)吸入用の道具にサイズ感が似ていて、そういう風に使えないこともないなと思ったり。

こちらは19世紀末のパリ土産、携帯用メジャー。

上部の白いツマミを回すと、目盛りの付いた木綿のリボンが、樽の内部に巻き取られる仕組み。

一見したところ象牙製に見えるのだが、材質はbois de corozo、象牙ヤシの木である。南米アマゾン地域で育つ木で、種子の胚乳が非常に硬質。プラスチックが普及する前には、ボタンやパイプ、ドミノ、チェス駒といったものを作るのに使われた。

この白いツマミ部分に仕掛けがある。
小さなレンズ状の覗き穴をのぞくと、モノクロで描かれたパリの名所6景が見える!左上からパレ・ロワイヤル、(セーヌを臨む)パノラマ風景、リュクサンブール宮、右上からシャンゼリゼ大通り、ルーヴル宮、マドレーヌ寺院というセレクト。

現代だと「エッフェル塔、凱旋門、ノートルダム大聖堂、サクレクール寺院、オペラ、グランパレ」あたりになると思われるが、観光地の人気順も100年ちょっとで結構変わるものだな。

のぞいて見える絵は技術的な問題で撮影できず、ここに載せられないのが残念。

「エッフェル塔が6名所の中に入っていないので、1889年以前の物ですね!」と売り主に言うと、「鋭い!その視点はなかった。もうすっかり塔があることに慣れちゃってるから… あなた物知りだわ、うちで働いてもらおうかしら」という冗談が返って来た。

メジャーは1メートル。後染めの木綿に判で押したような目盛りで、手工業品感があふれる。