パリ15区(rue Lecourbe)のブロカント | 2017/09

なんと2年以上もご無沙汰していたらしい、15区のブロカント

思いがけずGのスタンドを発見。そして、とても珍しい品物が売り出されているのを見て驚いた!

アルジェリア戦争(1954-1962年)の際に、冷え込む砂漠の夜を過ごすために兵士たちが着用した、キルティングのジャケットの第2世代デザイン。
サイズは最小の「2」(このジャケットのサイズ取りは少し不思議で、2と6と9の3サイズ展開)、デッドストックなので素晴らしい状態。2年ほどずっと探し続けていたものがポンと目前に現れたので面食らった。マルタン・マルジェラがアーティザナル・コレクションの中で母体に使ったことでも知られるジャケット。稀少なので、買えなくてもせめて実物を目にする機会があればと思っていたら、入手できてしまった!
こちらは、10月28日と29日に神戸で開催するポップアップストア「アチコチズ」にも1点だけ持って行きます。内側に1957年製の印がハッキリ入ったデッドストックです、お楽しみに!

アメリカのボーイスカウトのシャツも良い状態のものがあったのでついでに購入。

興奮冷めやらないまま少し歩くと、あるスタンドにポスターが雑に30枚ほど積まれていた。
6点ほど選んでスタンドの主に値段を訊くと、ポスターを1枚をかなり乱暴に掴んだまま、近くの車中の誰か(本当の売主っぽい)に相談しに行った。そのせいで、特に気に入っていたポスターに大きな皺がついてしまい、一瞬で買う気が失せる。紙の扱いが雑なことに耐えられないので思わず「そんな風に持ったらポスターが全部傷物になる、値段を訊くのに移動するなら私が持って一緒に付いて行きます」と強めに言ったら、「怒られるの怖いから気をつけて持っていくよ」とビビっていた。「ちょっと皺が付いたくらいで買うのをやめる人間がいるのか」と相手は思っただろうが、ミニマルな構図のカッコいいポスターはちょっとの皺でアウトだよとこっちが言いたい。あと、ちょっとの皺じゃなくて、手で掴んだ部分が向かい風でぐしゃっとよれたので大きなダメージである。かわいそうなポスター。

さて、買った2枚のポスターの制作をしたGalerie Alphonse Chaveに調べてみると、1950年代にジャン・デュブュッフェ、1960年代にはマックス・エルンストなどの企画展も行なった歴史ある画廊だった。Historiqueの項目にある歴代の展覧会ポスターが面白くて、つい見入ってしまう。

1枚目は1970年のHaute Tensionというグループ展のポスターで、黒い便座の中央にに卵がはまったマン・レイの作品、Trompe l’Œuf(1970年)がメインのヴィジュアル。シルクスクリーンなのだが、便器の黒い色の部分だけオーバープリントされているという手の込みようで、ねっとりと艶のある黒色が出ている。文字部分の扱い方も素晴らしい、特にアーティスト名の羅列部分。上質な告知ポスターは半世紀近く経っても新鮮で力強く、それ自体がアート作品になる。

青の発色と絵の奇妙さに惹かれて選んだ2枚目のポスター。Claude Viseuxは、トーテムのような細長いステンレス彫刻作品で有名なアーティストだったらしい。ポスターに使われているのは、彫刻作品をイメージしたと思しきコラージュを、写真製版リトグラフにした作品。おそらく、1971年に作られたImaginalesという版画シリーズを紹介する展覧会だったのだろう。ポスター自体もリトグラフ刷りなので、リトグラフ作品をリトグラフ刷りしたという入れ子のようなことになっていて、それも面白い。
この2枚のポスター、いずれもオークションですごい値段がついているのを見つけたので、高かったけれど良い買い物をしたと思う。

さらに歩くとLのスタンドがあった。もう割と買い物してしまったので何も買わずにいようと思ったのだけれど、1910年頃の子供用すごろくの魅力に負けて購入。乗用車が子供の憧れの的だった時代の、「Teuf ! Teuf !(日本語だとパッパーとかプップーとかのクラクション音)」というすごろく。

当時はクラクションがラッパそのものであり、運転手用のゴーグル(屋根がないから必須!)やオイル差しジョウロなどがゲーム盤に散りばめられている。印刷技術は、当時クロモと呼ばれた多色版刷り。

遊び方の説明書も残っているので、お正月にでも遊んでみよう。