パリ8区(rue Tronchet)のブロカント | 2017/09

買い物をしたのはどうやら3年ぶりの、8区マドレーヌ寺院界隈でのブロカント。
デパートの立ち並ぶエリアでの開催なので、出品物が観光客向けに偏っていて、価格も心持ち高め。立ち寄ることはあっても、見るだけで終わることが多かった。

朝からひどい天気で、今にも雨が降りそうな雲行きを気にしつつ歩いていると、紙もの専門のDに会う。

この日はパリの地図が売りに出ていなかったので、買わずに済んで少しホッとした。その代わり、面白い小さな印刷物を6点見つける。

1958年の交通ルールのリーフレット。

「Poulainチョコレート提供」と表紙に書かれているので、もしかしたら板チョコのパッケージに挿入して配布されたのかもしれない。

横長の紙を2つ折りにした状態で巻き3つ折りにしてある(巻き6つ折り??)ので12ページで、道路標識の早見表と、車輌運転者と歩行者の双方がそれぞれ守るべきルールなどが図解されている。

イラストで描かれた人物たちが中途半端に写実的で、ちょっと怖い。
同年の道路交通法の大改正にあたって、大規模な啓蒙キャンペーンが行われたのであろう。

裏面にフランスの県番号一覧があるのだけれど、当時はまだ91から95の県番号が存在しない。現在はパリ市のみを示す県番号75は、昔は「セーヌ地方」という大きなくくりで、パリとパリ郊外の県をひとまとめにしていたのだ。
知ってはいたけれど、実際の印刷物でSeineという県名を目にすると、不思議な気分になる。

派手な左右色違いのタイツに細長く尖った爪先の靴という、14世紀の最新流行ファッションに身を包む鷹匠の図。真面目なのにどこかユーモラスな様子に、目が離せなくなった。銅版画に手彩色で、18世紀後半から19世紀の印刷物ではないかと見当をつけている。

Durham(ダラム)肉牛の絵。
堂々とした牛の力強さと、背景の描写力に圧倒される。
ワラ葺きの建屋と牛しか描いていないのに、この存在感はすごい。

1832年6月30日と日付けまで入った、「パリジャンの衣装」と題された絵。

イラストの下に、「Faconas algériens de M(ins) de M.Gagelin rue de Richelieu」というキャプションがある。

Faconasが辞書に載っておらず、ネットでもヒットしないので諦めてGagelinという名前とMagasinの単語で検索すると、パリのリシュリュー通りにあった有名服飾店だったらしい。当時の領収書などの画像が見つかる。

どうやら当時のファッションカタログの1ページで、Faconas algériensというのはこのドレスのデザインの名前(PrieurとかFavoriとかいう名のついた他のデザインがネットで見つかることから類推)か、またはこのドレスを発注し制服として採用していた店舗(エプロンを着けているので)の名前だと思う。