L’Isle-sur-la-Sorgueのブロカント | 2017/08 後編

南フランスのL’Isle-sur-la-Sorgueでのブロカント訪問、後編。

この麻布は、ベッドのマットレス部分を包む布の一部で、18世紀のアルザス地方のものだろうと言われた。

何ヶ所にも点々と2つずつ穴があるのは、マットレスの表から裏まで垂直に紐を通して、かぶせた布地がずれないように固定するため。

昔はジプシーの人々が道中の村で各戸を回り、ベッドのマットレスの張り直しなどの力仕事を請け負っていたのだと教わる。

この紐通し穴があるのが気に入って買ったようなものだ。手でかがってある。
ベッドの詰め物は干しワラか羊毛だったのだろう。

それにしても、色落ちした本藍染めの麻布の景色のみごとなことよ。
ところどころに別布が継ぎ当てされ、補強の刺し子の運針も几帳面で、大切に長く使われていたのがわかる。

同じ所で買い求めた、バスク地方の19世紀製のリネン。
白い模様織地に、本藍染めの糸で織り込まれた直線が映える、清々しい意匠。

表面には織り模様が浮き上がって光沢があり、裏面はマットな質感。

古いリネン地を手に持った時のやや湿ったような、まるで生き物のようにつるんと重力に身を任せる様子が好きだ。

同じ家庭で使われていたと思われるものを数点、ふきんやらバスタオルやら、サイズちがいで購入した。


3日後に今度は、義父夫妻と彼らの友人も合わせて、計5名で再訪問した。

素敵な指なしの長手袋を見つけた。

骨董店集合ビルの中の売り場だったのだが、店主が不在。しばらく待てども、戻る気配がない。

同行者らを長く待たせるわけにもいかないので、隣の店の主に、隣人がいつ戻るかわかるものかと訊くと、親切にも電話をして捕まえてくれた。

1900年頃のパリで流行したデザインの、北フランス(レース産業で有名なリール周辺の村であろう)のレースで作られた手袋だという。

19世紀後半には、富裕層の女性の間で黒いレースのミトン(フランス語ではmitaines)が流行っていたよう。インターネットで検索すると、古い写真がたくさん見つかる。

未使用品で当時の包装紙つき、ひと目で気に入ったので、試着もせずに買ってきた。

この記事を書くにあたり初めて試着してみたら、手の幅がギリギリで、親指のつけ根の骨が邪魔をして、着脱が大変である。

昔の糸はストレッチも効いていないし、女性は小柄で手の幅がかなり細かったというのを、忘れていた。

これを身につける際には、精神統一をしてクリアな気持ちで臨まないと、うっかり破いてしまいそうだ。

機械編みのボビンレース。


おまけ。

アンティークの品ではなく、現代のアーティストによるアクセサリーを1つ、初日に買っていた。

銀製の左耳用の耳飾り。

Cabinet de curiosité(植物標本、昆虫標本、鉱物標本、動物剥製、骨董品などの蒐集室)をテーマに展開する、Res Mirumというブランドで、制作も手作業で行なっているという。物静かな若い2人のクリエイターが、雰囲気のある素敵なスタンドを構えていた。

私が選んだのはOrientalismeというコレクション。薬瓶のシリーズApothicaireも素敵だった。

2 Comments

左耳用の耳飾りってつけるとどんな感じになるのでしょう?
写真で見る限り、結構大きく見えますが。。。

つけているところの写真を是非見たいです!

自分で写真を撮ったらうまくいかなかったので、ブランドのEtsyページを探したらありました、着用イメージ図が。

シルバーは柔らかい素材なので、下の丸い花弁の部分を少し指で押さえて耳たぶにフィットさせて着ける感じです。

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