パリ11区(Bd. Richard-Lenoir)のブロカント | 2017/02

年に数回開催される11区のブロカント。毎回ほぼ欠かさずに訪れているのだけれど、買い物をしたのはどうやら1年ぶり

知人Tの軍物スタンドで見つけたスウェーデン軍の濃いブルーグレーのケープが、サイズも丁度でなかなか似合ったものの、迷った末に買わず。
しばらく歩くと、そのTの友人女性の営む古着スタンドがあった。奥に吊られていた1枚のブラウスが素敵だったので見せてもらう。

「1947年から1950年ごろの品。当時一世風靡したニュー・ルックの影響が見られてモダンなデザインでしょう?」とスタンド店主。長身ですらっとした彼女はいつもお洒落で、根っからのヴィンテージ好きという雰囲気。顔見知りなので今までにも挨拶は交わしていたけれど、ちゃんと接客してもらうのは初めてだ。
七分袖、小さな襟、横縞模様、私の好きな要素が全て詰まっていて素晴らしい。ストック焼けでややクリーム色がかっているのは、ヴィンテージ衣料の持ち味ということで受け入れる(これでも洗濯でかなり明るいトーンになった)。袖のボタンが欠けているのでこれから探す。

ハガキを6枚。左上から時計回りに、

スカートの裾をたくし上げてストッキングのズレを直すご婦人を凝視する犬
風呂敷に包まれた仔犬たくさん
陶器製造工房の様子
バスクの衣装を着てファンダンゴを踊る人々
オーヴェルニュ地方の羊飼いの民族衣装を着てブーレ(Bourrée croisée à quatre)を踊る人々


中央の1枚だけが写真ベースの絵葉書で、これまたオーヴェルニュ地方の羊飼いの衣装Biaude姿に釣竿を持つ男性と、彼の妻と思しき女性が向かい合って話している。下の方に書かれたセリフは、

「グジョン(コイ科の淡水魚)釣りから戻ったよ」
「何匹釣れたの?」
「ゼロ」
「じゃあなんでグジョン釣ってたってわかんのよあんた」

ムッシューの居心地悪そうな神妙な面持ちにも納得が行くってもんだ。当時のビオードの着用例や室内の道具の様子がわかるので、資料として面白い。

最後に、顔見知りの紙物スタンドの女性に挨拶。若いアジア人女性グループに無邪気な値切り方をされ、それを満面の笑顔と下町ノリでかわす様子を見て笑っていたら、なんとも素敵なリトグラフ刷りを発見。

「Bal de nuit de l’A.A.A.A.」、Aide Amicale Aux Artistes(訳すなら「芸術家支援団体」か)のパーティーの宣伝ポスター。
Magic Cityとは何ぞと思い調べると、1900年から1934年までパリ7区セーヌ川沿いにあった、成人向け複合娯楽施設。いわゆる大人の遊園地だ。
レストラン、ダンスホール、スケート場などを備え、舞台公演、見世物ショー、男性の女装舞踏会、カップル装いコンクールなどのアトラクションが頻繁に催されたという。アール・デコ全盛期の「狂気の時代」、当時のアーティストたちが夜な夜な集ったであろうピカピカの社交場に想いを馳せつつ、ポスター下部の人々の様子の洒脱な描写を眺めていると、作家のサインが… モーリス・ユトリロ!なんと!ポスターデザインの仕事も手がけていたのか、画家ユトリロ。ちなみに、ポスターの初版は1925年4月であるが、私が買ったものは1950年版だそう。
それと知らずに手にしたユトリロ画だが、この絵はとても気に入っているので、近いうちにちゃんと額装をしたい。