ヒゲ剃り惑星(Planète Rasoir)

前回、秋の日本滞在中にまったくヒゲを剃らずにいた夫。
これをきっかけに、ヒゲを伸ばすことにしたらしい。

とは言え、もともとヒゲの伸びがとんでもなく遅い体質なので、半年でやっと2cmほどになったところ。

自分でマメに手入れしているようだけれど、「1度プロに任せれば、アドバイスも聞けていいよ〜」と、ささやき洗脳すること数ヶ月、やっと本人もその気になって、理容院を予約。

ありがとう、実はじっくり見てみたかったのは私だ、ヒゲ剃りの現場というものを。女性1人では、なかなか入れないのだ。

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このPlanète Rasoirは、私の数年前の仕事がきっかけで知った。
ヒゲ専用の小さなブラシを、夫へのプレゼントとして買い求めたこともある店。
この夏の初めには、ヒゲ用のシャンプーを探しに、2人で来店している。

ブラシ、櫛、電動バリカン、専用クリーム、専用シャンプー、ワックス。
ヒゲに関する品物なら、なんでも揃う。

1960年代の創業当時からあるらしき什器に並ぶ、商品の様子は博物館さながら。
そういえば、中学校の理科室のビーカーが並ぶ棚や、鉱物標本ケースも大好きだったな。

クラシックな赤い椅子が2台鎮座する、窓ぎわの明るい一角がヒゲ剃りコーナー。

ヒゲ剃り師の若い男性は、気さくでとても感じが良かった。
なんと、日本が好きなのだそうで、自宅でラーメンを作って替え玉するのに凝っている、と話してくれた。

「日本の漫画を読んでいると、登場人物のラーメン鉢に2玉目の麺が入れられるシーンがあって、それと同じようにしている」と。
細かい所をよく見ているな。

最初はバリカンでざっと毛量を減らし、次にハサミで整え、最後に剃刀で仕上げ。

途中で、次の予約客であるバイキングのような髭をたたえた男性が入ってきて、私の向かいに腰掛けた。

ずっと横からと斜め後ろからしか見ていなかったので、本人が正面に立った時には驚いた。夫は5歳くらい若返っていた。

ヒゲの曲がる場所を少し上げて、角度をつけるだけで、ずいぶん変わるもんだな。