Barjacのブロカント | 2016/03 その1

最近仲良くなった軍物スタンドのG氏が教えてくれた、南仏のバルジャック村のブロカントへ。バルジャック村の存在は、数年前に観た映画「未来の食卓」の舞台として知っていた。劇中のなんとも美しい風景と街並みに、「年老いて田舎に住むような日が来たら、絶対にこの村がいい!」と思うほどに惚れ込んでしまった場所。とうとう現地に行けると思うと、とんでもなくワクワクする!
ついでにアヴィニヨン近郊の義父宅に寄って顔を見られるからいいねと思ったら、なんと義父が自ら1時間半運転して我々を村まで送り届けてくれた。長距離バスで行くつもりだったのだが、後になってこの義父の車がどんなに有り難かったかを知る。私の予約したホテルが、村から「わりと」遠かったことが分かるから。
IMG_1995
ホテルにチェックインして荷物を預けた後、義父と3人でお茶でも飲もうと村に着いてみると、ブロカントがもう始まっている!木曜始まりだと思って、水曜日にホテル入りのプランにしたのだが… というわけで、軽く休憩した後、さっそく行動開始(確認したら、ちゃんと水曜始まりって書いてあるよ、私の目は節穴か)。山の上だしミストラルは吹いていないだろうとの期待は一瞬で吹き飛ばされた、暴風にプラタナスの綿毛がびゅんびゅん舞って目を開けていられない。髪は綿毛だらけ、黒いジャケットも綿毛だらけ。半日もいれば、もれなく誰もが花粉症になりそうな具合であった。しかし、雨模様よりは断然いい。
IMG_1997
まず最初の買い物は、特大の緑色の広口瓶。G. DUPIT BORDEAUX FRANCEという文字付きで、どこも欠けておらず、素晴らしい状態。
似たような1L瓶を持っているのだが、今回買った物は口から腕がすっぽり入って、瓶の内側の底を丁寧に洗えるくらいに大きい、とにかく大きい。液体を入れるだけならこんなに広口に作る意味が無いので、何か固形の物が入っていたのではないかと思っていたら、夫が「G. DUPITはラム酒の輸入販売をしていたボルドーの企業」だという事を発見。ラム酒でピンと来た、きっとこの瓶、ポンシュ(ラム・パンチ)を作って保存するのに使われていたに違いない!ラム酒に砂糖と果物をガンガン沈め、いい具合に漬かったところでレードルで掬ってグラスに入れるのだ。蓋が無いけれど、コルク蓋か木の蓋を充てがえば良い。
IMG_1998
この瓶を嬉々として購入した私を見て、義父は「南仏まで遥々やって来て、こんな地味で馬鹿みたいに大きい物をなぜ欲しいんだろう」と不思議そうにしていた。夫は私が文字入り業務用品好きな事に慣れているので、今さら何も言わない。
IMG_1999
2番目の買い物は、これぞ「ザ・民藝」という趣きのある白いボウル。分厚くて非常に重いが欠けなどは無く綺麗、1910年頃の物らしい。
IMG_2000
釉薬の掛け方もザバーっと適当な感じ。少々手荒く扱っても平気そうなところがいい。
IMG_1996
ここで、最初に入ったカフェのすぐ側のスタンドで最初に見て一目惚れしてしまった麻の生地を、やっぱり買いに走る。思ったよりもだいぶ高価だったので一旦諦めた(私と同時にスタンドにいたイギリス人らしき男性も諦めていた)のだが、あんな好みど真ん中のリネンなんて2度と見つからないぞと思って、ずっとそわそわしていたのだ。19世紀の麻で、元は袋状の掛け布団カバーだったのが分解されて平たい状態の正方形になっていた(他の品はみんな袋状だった)。1枚布ではなくて2枚をハンドステッチでツギハギしてあるところがまた魅力的。我が家の食卓にピッタリな大きさなので、テーブルクロスにする。

近くに見つけた店で昼食を摂り(要領の悪すぎるオーガニックレストランだった)、その後、義父は帰路に。私が買った特大瓶、重いボウル、麻布を車に積んで持って帰ってくれると言うのでお願いした、ありがたや。
IMG_2001
ミシュランのビバンダム君が描かれた、1960年代の未使用タイル。4ポーズ7枚くらいあった中から、欠けていなくて綺麗なのを2枚選んだ。並べると、ちょうど手を繋ぎかけている2人みたいで楽しい。
IMG_2002
裏を見ると、スペイン製とある。ミシュランの修理工場の壁に使われていたんだろうか?今ちょっと調べてみたら、かなり珍しい品みたいだ。
IMG_2003
19世紀のムスティエ焼き平皿。絵付け無しの白無地皿、ずっと欲しかったのだ!
白いのは窯元の職人が自宅用にしていたり、村人の普段使い用だったと聞いた事がある。
IMG_2004
このバッテンのサインはムスティエの刻印本にも見つけた。
IMG_2005
砂糖菓子のような美味しそうな姿。
IMG_2006
ラヴィエよりは大きく、大皿と呼ぶには小さ目の楕円皿は、19世紀のLunéville窯製。
IMG_2007
さて、これらを全部大事に持って、ホテルに戻る。村で夕食を摂るつもりでレストランを予約してあったのだが、日没前にホテルに着くよう段取りしないとまずいということを夫に指摘されて、キャンセル。なぜなら、ホテルを予約した時に私がメモした位置情報が間違っていて、村から徒歩10分だと思ったら、4kmだったという!!!ホテルのフロントの人も目を剥くような勘違いで、気の毒そうに村までの道程を丁寧に教えてくれていた。だんだん暮れて来る中、誰もいない葡萄畑の1本道を、iPhoneのGPSを確認しながら黙々と前進する2人… 軍隊の訓練かいな!街灯は皆無、こんな事態は予想しないので懐中電灯も持って来ていないし、もうとにかく早足で進むしかない。途中で道を塞ぐほどの大きな水溜りが2個もあったし、初めての道程で真っ暗だったら完全に足を突っ込んでいたと思う。やっとホテルまで900mくらいかという頃、美しい夕焼けを見られたのは良かったけれど(旅の風景写真はインスタグラムに数枚載せています)。

ホテルに無事着いて、部屋の機能を一通りチェックしつつ休憩してから、併設のレストランへ。2人とも前菜はパスしてメインを取るとサービスの人に伝えたら、しばらくして別の人がやって来て「どちらのカトラリーをお下げすれば良いでしょうか?」と笑顔で言うので、ナイフでも交換に来たのかと思って「あ、じゃあ私のを」と答えたら、なんとカトラリーを全部下げられた。「えっ!えーっと、私も食べるんですよ?!」と咄嗟に制したら、あちらも驚いている。どうやら、最初に注文を取った女性が何かを勘違いして、1人しか食事をしないような雰囲気になっていたらしい。大人2人で座っておいて、そんなわけあるかい!お陰で大笑いしたよ。食事は美味しかった。

部屋に戻って、暖房を強めたのに中々暖まらないので「暖房の効き悪いよね。さっき強風にしたのに」とつぶやいたら、「なんかさ、冷たい風が出てない?」と夫。リモコン表示を確認したら、「Cold」になってる!冷房やそれ!どこで押し間違えたんだ。部屋が広いしタイル張りなので風を冷たく感じるのかと思っていたのだが、45分の徒歩で私も相当疲れていたようである。地上階の端の部屋なので壁からの隙間風が冷たいな、カーテンがもっと分厚ければよかったのにな、と思いながら眠る。そして翌朝、窓がしっかり閉まっていなかった事に気付いた。そりゃ寒いわ。もうドジ過ぎて自分に萌えた。