パリ14区(Av. René Coty)のブロカント | 2015/06

Arago大通りのブロカントを後にして、14区のRené Coty大通りへ。
友人が住んでいた頃はたまに来ていた界隈だけれど、ここでのブロカントは初めてだ。

19世紀の病人介護用スプーン。

錫製で、蓋つき。
シロップ状の薬を入れて、先端の開口部から患者の口にゆっくり流し込む、という使い方である。

蓋は大きく開くし、わりと使いやすそう。

逆さでも綺麗。

これを売ってくれた夫婦との会話が楽しかった。
彼らのスタンドで最初に気になった品は、獣の頭部に杯がくっついたデザインの錫のコップだった。

イノシシや鹿など、狩りでなじみ深い数種類の獣がモチーフで、液体が入った状態では、下向きの獣の頭部をにぎって持つ。食卓に置く時には飲み口が卓上につけられ、獣の頭が正位置に。

飲み物に毒を盛られるリスクも少なくなかった領主制時代、注がれたワインは一気に飲み干し、杯を逆さにする慣しがあったそうで。
同じ獣が2つと無いので、他人のグラスとの取りちがえも避けられる。

以上をテンポ良く面白おかしく話してくれたので引き込まれ、色々見せてもらっているうちに、病人介護用錫製スプーンを見つけたのだった(獣グラスは20世紀製のレプリカで、数も多すぎるので買わず)。

1929年前後の古い印刷物。Air Franceの荷物タグのデザインが、力強くて大好きだ。

ある家族が、家の新築または改装を検討中に集めたであろう専門業者のカタログが、どっさり売りに出されていた。

左はタイルの業者のリーフレット。

右のアール・ヌーヴォー感あふれるリーフレットは、他より少し古くて1902年発行。

金属製部品やケーブル線、電気配線などを請け負う業者で、オペラ地区のVolney通り10番地が本社。国内の数ヶ所に工場を持ち、万国博の審査員も務めた、とある。右上に、Le Mans営業所の担当者名が、スタンプで押されている。

こちらは門扉の業者、1929年発行。直線的な意匠で、アール・デコっぽい。

今も5区に現存のMaison de la Mutualité(劇場、会議場、パーティー会場としての機能を持つ建物。1930年の建造、当初はフランス革命年と同じ数字の1789席を有する大劇場で、パリ共済保険連盟の本社住所。左派政党の集会や左派アーティストのコンサート等に使われていた。後の改築で800㎡の大会議室と35から130㎡の9室に分けられ、会議場・研修室として運営されている。アール・デコ様式の外観は2011年に歴史的記念建造物に指定)が発行した、1951年の案内冊子。

この冊子、ほとんどが広告ページで、現代のファッション誌もびっくりであろう。

いかにも50年代っぽい書体とレイアウト。
制約の多い条件で作られた、昔の広告デザインは面白い。

同じスタンドで夫は、1950年代のAir Franceロッキード機やフランス空軍の戦闘機の写真を、破格で見つけてうれしそうだった。